いきなり本題に入るが、今回のJADEは本当に凄い。「現行車でもここまでできる!」どころの話ではく、これ以上に心血を注がれたJADEは存在するのか? といったレベル。
日本でも一番か二番かという、“日本”という単語をためらわずに使えるくらい手が込んだ改造を、随所に施しているのだ。
目指す方向性としては、CBX。元々の設計が完全にCBXを意識したスタイルであったし、ホンダの単車としてはひとつの最高峰でもあるCBXをモチーフとするのは、ごく自然なことだろう。
ただ、このJADEが凄いのは、単なるCBXの模倣には収まらない点にある。
たとえば、カラーは550Fの純正を模しているし、ホイールもCBXの代名詞ともいえるブーメランコムスターを取り入れてはいる。だが、ラインはデカールなどではなく一色ごとに塗料を調合し、オーナー自らがペイントした力作。
ホイールも、そもそもCBXの足回りをそっくり移植するのはなかなか大変な作業。しかも、ここにブレンボのキャリパーまで装着しているというから恐れ入る。
パーツの多くが、ワンオフで制作されている点も見逃せない。そもそも、JADEに適合するBEET製パーツには限りがある。
そこで他車用のパーツを加工してBEETのパーツを組み合わせたり、パーツそのものを加工したりして、様々な適合パーツを生み出したのである。
さらに、デュアルライトはパッシングやハイビームを可能にするなど、見た目だけではなく利便性も含めた改造を加えている。これだけの加工・改装を加えていながら、ほぼ自作というのも凄い。
ここまで架装するには、相当な苦労もあったはず。ただ、オーナー氏にとっては、その苦労こそがJADEを所有する楽しみなのかもしれない。なぜなら、本人はまだまだ架装への意欲を失っていないのだから。