日本でレンタル電動キックボードや違法電動自転車、電動スクーターが普及し始めている。
無免許でも運転できるため事故の可能性が高いのと、速度が遅いため他の車両の交通を阻害するなど正直ウザいという問題が指摘されている。
一方で、国内バイクメーカーは50ccバイクの生産を2025年5月に終了する。その市場の空白を埋めるためにも電動キックボードは必要ではないか?という考え方も出てきている。
ということで、これについて軽く考察してみたいと思う。
50ccバイクの需要減少と市場衰退
かつて日本の街を走る50ccバイクは、都市の風景の一部だった。
小回りが効き、手軽に使えるため、多くの人々にとって便利な交通手段として愛されていた。しかもゼロハンスポーツと呼ばれるカテゴリーも登場、80年代のピーク時には年間で約250万台が生産されていたそうだ。
しかし、時代は変わり、2025年11月に実施される新排ガス規制や安全基準の強化、さらにはライフスタイルの変化により、50ccバイクの需要は減少。それにともなって国内バイクメーカーは生産を減らし続け、2022年には約15万台まで落ち込んでいる。しかも現在の50ccのカテゴリーは、カブシリーズを除くとスクーターだけしかなく、選べる車種も少なくさびしい状況。今や市場から姿を消しつつある存在だ。
そんな中、新たに登場したのが電動キックボードや電動スクーターだ。
これらの乗り物はその手軽さから、50ccバイクの後継として市場に登場し、人々の移動手段としての役割を果たすことが期待されている。
50ccバイクの生産終了による市場空白
50ccバイクの消滅は、多くのバイク愛好者にとって衝撃的だった。
これらの小型バイクは、都市部での移動に適していて、駐車場の問題も少なく、燃費も良いため、非常に実用的だった。
しかし、その役割を担っていた市場が縮小し、その空白を埋める新たな交通手段が必要とされている。
ここで注目されているのが、電動キックボードや電動スクーターというわけだ。
これらの乗り物は、50ccバイクと同様に小回りが利き、都市部での移動に適している。しかも50ccバイクとは異なり、電動キックボードや電動スクーターは、エンジンではなくバッテリーで動作するため、環境への負荷が少ない。また、駐車スペースもほとんど必要としないため、都市部での利用するにあたっては非常に現実的である。そして50ccバイクでは成し遂げられなかった「レンタルバイク」というニーズをまかなえるようになった点も、時代に即していると言えるだろう。
電動キックボードの普及と問題点
そんなわけで電動キックボードの普及は、都市部において急速に進んでいる。多くの人々が、手軽に利用できる新しい交通手段として受け入れているのだ。
しかしその一方で、無免許でも運転できるため、交通ルールを知らないまま乗り回す利用者が増え、事故のリスクが高まっている。
実際、あまり報道はされないものの電動キックボードがらみの事故は毎日少なからず発生している。
また、速度が遅いため、他の車両の交通を阻害することも問題視されている。特に、歩道を走行する際には、歩行者との接触事故が発生するリスクが高い。実際、ドライバーからも歩行者からも「お邪魔虫」扱いされている感は否めない。
これらの問題に対処するため、警察は電動キックボードや電動スクーターの取り締まりを強化する方向に動いている。具体的には、無免許での運転や違法な改造に対する罰則の強化が検討されている。また、速度制限の厳守や、専用の走行レーンの整備も進められている。
電動キックボードが50ccバイクの代替となる可能性
とはいえ、電動キックボードや電動スクーターが、50ccバイクの市場空白を埋める存在となるかどうかは、まだ未知数だ。
しかし、その可能性は十分にある。まず、環境への配慮が求められる現代において、内燃機関のエンジンを使用しないこれらの乗り物は、非常に魅力的だ。また、都市部での駐車スペースの問題も解決できる点でも、非常に実用的でもある。
一方で、交通ルールや安全性の問題が解決されなければ、50ccバイクの代替として定着するのは難しいだろう。今後の警察の取り締まり方針やインフラの整備が進むことで、電動キックボードや電動スクーターがより安全に利用できる環境が整えば、50ccバイクに代わる新たな交通手段として広く受け入れられる可能性が高い。
まとめ
電動キックボードや電動スクーターは、50ccバイクが消えつつある市場の空白を埋める可能性がある。しかし、現時点では、その普及に伴う課題も多く存在する。特に、少なくない利用者による無免許での運転や交通ルールの未熟さからくる事故のリスクは、無視できない問題である。
今後、警察の取り締まり方針やインフラの整備が進むことで、これらの課題が解決されれば、電動キックボードや電動スクーターが50ccバイクに代わる新たな交通手段として定着する日も近いかもしれない。