暴走族のチーム名は、あるころを境に漢字をメインに使うようになった。きっかけは、「䥝」・「極悪」の登場だろう。ここから、元々横文字だったチームも漢字を当てたりして、チーム名の画数がどんどん増えていった。
欧文を横文字と呼ぶのに対し、この漢字を使うチーム名を“縦文字”と呼ぶこともある。ただ、それも横文字あっての“縦文字”で、のちのチームの大半が漢字を使うようになっていったため、この“縦文字”という呼び名も、次第に使われなくなっていった。
今回は、そんな“縦文字”チーム名から、特に当て字を使った名前をピックアップしてみた。本来は英語で、あとから漢字を当てたもの、最初から漢字だったものなど、様々に見てみたい。
目次
寿辺苦絶悪(スペクター)
元々は『SPECTER』。CRS連合の一角としても有名な、全国区の名門チーム。
日本語にすると「幽霊」「亡霊」。ガイコツマークの欧文ステッカーは現在でも人気だ。特攻服の着用が主流になるにつれ、刺繍する者が増えていった。
阿李猫達(アーリーキャッツ)
元の表記は『AlleyCat’s』、意味は「野良猫」、「捨て猫」。
こちらもCRS連合の一角を占めた大名門。”キャッツ”の部分を完全に当て字にせず、「猫達」と意味を優先したことで印象がより強くなった。横文字も、ステッカーなどを中心に残していた。
黒唯皇帝(ブラックエンペラー)
言わずと知れた日本最大の暴走族『BLACK EMPEROR』も、縦文字化の波に乗っていた。
こちらも、”EMPEROR”の部分は”皇帝”という直訳を使っている。ちなみに、「唯」の文字の由来を心当たりの方、教えて頂けませんか?
情可悪達(ジョーカーズ)
『JOKER'S』は全狂連にその名を連ねた東京の老舗チーム。カミナリ族からの流をくむなど歴史あるチームだった。
バイクの腕には自信があるメンバーが多かったともいわれている。直接的な意味は『切り札』だが、漢字は当て字を用いた。
怒悪流(ドール)
相州連合の創設にも深くかかわった、神奈川県平塚市を本拠地とするチームの『DOLL』。
セクシーな踊り子のペットマークも広く知られている。漢字はおそらく当て字だが、これに「怒り狂った/悪党どもが/流れ流れにやってくる…」という意味を当てている。
南無場阿腕(ナンバーワン)
千葉県で一大勢力を誇った喧嘩チームで、killer連合(こちらも表記を『鬼羅連合』に)の主力チームのひとつ。
元々の表記は『Number1』だった。おそらく当て字だが、縦文字表記の印象が非常に強いチームのひとつでは?
愛死美絵無(ICBM・アイシービーエム)
『ICBM』とは、「大陸間弾道弾ミサイル」の略字。チームは東京の下町でその名を馳せた。
元々が略字だったからか、愛死美絵無にも「愛することも/死ぬことも/美しすぎて/絵に/なら無い」という意味が与えられている。この解釈はマジでスゴい!!
江流座(エルザ)
『江流座』は横浜連合に所属していた鎌倉のチームで、漫画『湘南爆走族』のモデルとなったという説もある。当初から漢字を当てていた珍しいパターンで、ちゃんと「江の島を流れる星座」という意味がある。意味自体がカッコいい。
もちろん、これが全てでないのは皆さまもご存知のとおり。今後も、様々なかたちで暴走族の歴史に触れていく予定なので、楽しみにしていてほしい。
執筆者:i-Q JAPAN編集部