なにげない雑居ビルの1階に店を構えるレンタルバイク店の入り口をくぐると、そこにはホンダのCBX400FやCB400FOUR、ホーク2にホーク3、カワサキのZ400FXにスズキのGS400、GT380、さらにはヤマハのXJ400にRZ350といった、名車といわれる旧車の数々が並んでいる!
これだけのラインナップをそろえるのは、バイクショップでさえ至難の業と思われるクラスの状態のいい旧単車がズラリ。これが沖縄県の宮古島の脇に浮かぶ南海の小島・伊良部島だと、にわかには信じがたい光景だ。
ショップの名前は「旧車バイクレンタル宮古島」。伊良部島にあって店名に「宮古島」とあるのは当初宮古島での出店を予定していたから。現在はスタッフの反対もあって伊良部島にとどまっているが、いつか気まぐれで移転するかもしれない、と笑うのはオーナーの上地さん。
18歳からは千葉で暮らしていたが、島の生まれで定年を機に「生まれた島でのんびり余生を過ごすのも悪くない」と、一念発起。それまで貯めた貯金と退職金の大半をつぎ込んで始めたのが、このレンタルバイクショップだ。
「島に帰ろうと決めてから集めたバイクばかり。本当はコレクションにしようと思ってたんだけど、いろんなひとに『ちょっと乗らせてくれ』って言われるものだから、そんなに乗りたいのなら……ってことで、貸し出すことにしたんだ」
と、語る上地さん。本来は自分のためのバイクだったので、様々な車種を幅広く集めていた。自身が若かりし頃に欲しかったバイクを集めていたら、70年代、80年代のバイクに行きついたのだそう。
腕の立つバイクショップのスタッフが知り合いにおり、ガラクタ同然の個体を二束三文で購入しショップでがっつりレストアする、という手法をとったことで、入手が困難と思われるバイクも結果的には「そこそこ安く仕上がった」のだそう。
レンタルしているバイクは全部で15台で、うち3台はFX。前期型のヨンフォアとZ900RSは大型免許が必要だが、ほかは中型免許があればレンタルできる。
料金は4時間で2万円。乗れるバイクを考えたら良心的な価格設定。これまで特に宣伝もせず、島を訪れた方がたまたま看板を見て……というケースがほとんどだったとか。中型免許があれば、このためだけに伊良部島を訪れる価値はあるだろう。
最後に注意点をひとつ。これらのバイクは前出の通りすべてオーナーである上地さんのコレクションをお借りしているもの。コール目当てで訪れるのは、絶対にやめていただきたい。
元々は全車ノーマルマフラーを装着していたが、あまりの要望の高さに集合管は装着した。サイレンサーを着けて。
ところが、このサイレンサーを引き抜こうとしたり、マフラーを細工しようとするフテイのヤカラが少なからずいたそう。大多数が動画撮影用にとレンタルして、無茶な空ぶかしをしたがるのだとか。
当たり前だが、店側が禁止している事項を守れないなら無理して利用しなければいいだけの話。物足りないと思ったとしても、どうしてもコールがしたければ自分のバイクを島まで持ち込めばいい。
現役暴走族ならいざ知らず、大の大人が同じバイク好きを困らせるのは超ダサいので、絶対にやめましょう。そして楽しく旧車で沖縄を満喫しましょう!
≪SHOP DATA≫
旧車バイクレンタル宮古島
住所 沖縄県宮古島市伊良部字池間添6-8
代表者 上地勝弘
電話 :0980-78-5231
営業時間 :9:00-18:00
URL:https://kyuusha385.com/