1970年代後半に登場し、初搭載のツインカムエンジンが奏でる爆音で当時の若者たちを熱狂させ、その後は族車カスタムのベース車両として圧倒的な人気を誇るGS400。令和となった今の旧車會シーンでも“外せない定番”とされ続けている。
オーナー氏が15年間乗り続けているというこのマシンは、そんなGS文化を受け継いだ一台と言えるだろう。


一番目を惹くのは、深みのあるキャンディブルーの上を炙るようにファイヤーパターンが流れるボディ。それもよく見ると、炎の内側にボカシを入れることで立体感を出し、シルバーの縁取りで丁寧に仕上げられていることが分かる。
派手さの中に共存する繊細さがなんともエモい。高崎市のカスタムペイントショップ「ヌリジイ」によるものだ。

マフラーはウイング管をセット。いわゆる“吸い込みサウンド”を際立たせるGS400御用達のアイテムだが、その重厚感ある質感とエンジン前で交差する独特のレイアウトが、見た目の迫力を倍増させている。
加えて、クロームの輝きがビビットなピンクのフレームと好対照を成し、ただの機能パーツではなくドレスアップの要としても存在感を放っている。旧車會における「音と見た目の二刀流」を象徴するパーツ選びといえるだろう。

年季の入ったエンジンは、まさに“脂の乗った”という表現がしっくりくる風合いを放っている。単車としては初めてDOHCを採用したGS400にふさわしく、堂々と「DOHC」の刻印が入ったポイントカバーが、その歴史的価値を誇示するかのように輝いている。
さらに、グリーンに彩られたシリンダーフィンや差し色となるイエローのキックペダルも、旧車會的な遊び心を感じさせる要素だ。

“ザ・族”をコンセプトとするオーナー氏のイメージ通り、パッと見にも「これぞ族車!」と感じられるリアビュー。そびえ立つゴールドの三段シートと拡声器に加え、定番のチェリーテールが実にハマっている。
背後の相手を圧倒する“威圧感”と、どこか遊び心を漂わせる“お祭り感”――この相反する魅力が共存しているのが、このマシンの醍醐味といえるだろう。

ピンクに塗られたフレームや、ポイントで入れられたイエロー、三段シートのゴールドが絶妙なカラーバランスを演出。こうして見てみると色使いやパーツ選びにはオーナーのセンスとこだわりが詰まっているのが分かる。特にGS400は曲線的でクラシカルなスタイルだからこそ、派手な塗装やディテールが映えるのだ。
■オーナー:ナカジン
■チーム名:音家族(オトファミリー)
■ひとこと:大好きな先輩と兄弟車カラー(ヌリジイブルー)、ロケットステージにいる巨乳ちゃん