あくまでも一般論として、第二次世界大戦時の戦闘機を模した外装や日章旗(旭日旗)をデザインした外装を旧車バイクに施す場合、全体をヤラレにするケースが多い。
実際の対戦はすでに100年以上前のことで、その当時感を表現するにはヤラレという手法は実際に有効であることは誰もが否めないところだろう。
ただし、これも一辺倒となってくると「仕様が他人と被ってくる問題」が発生する。外装塗装などは、基本的に他人とカブりたくないから行うもので、まったく同じではないとはいえ、似たバイクがあるのはあまり好ましくない、と考える方は多いだろう。
そうした思考からくるものかどうかは定かでないが、こちらのバブは戦闘機仕様ながら、ヤレ感とは対極にあるクリアなデザインが印象的だ。
イノウエタイプのフルカウル側面、そしてタンクの側面まで日の丸が描かれたこちらの外装は、一目して戦闘機仕様。よく見ると外装全体に鉄板を張り合わせたようなデザインが施されていることからも、その意図は明らかだ。
さらにはカウル前面のライト回りにはシャークフェイスも描かれており、その度合いをさらに強めている。
ポイントはタンクの側面とカウルの縁に用いられた2本巻き。モスグリーンに赤と黄色の2本巻きはGS400Eの純正に用いられているカラーリングとデザインだが、これを採用することによって車両全体の“バイクらしさ”がグッと引き立てられている。
ヘッドライトは多灯のLEDを採用している点からも、古さと新しさを融合させたいという意図が感じ取れる。フレームが赤というのも、ホンダのスペシャル感があってオシャレ。
ケツ上げしたテールにはサンパチのキンタマテールを換装したりと、三段シートに載せ替えたらそのまま旧車會仕様にも転換できる仕上がり。オーナー氏の意図は定かではないが、細部にまで気を配った仕様ということは間違いないだろう。