昭和歌謡と聞いて、クルマ好きがまず思い出すのはやっぱり『真っ赤なポルシェ』だろうな。
山口百恵の名曲『プレイバックPart2』に出てくるこのフレーズ、「彼女はポルシェ乗ってるのか!?」と当時の少年たちをザワつかせた。
だが、クルマだけじゃない。
実は、昭和の歌にはバイクもチラホラ登場している。それも、けっこう濃い存在感で。
「へぇ〜そんなのあったっけ?」と自分でも思いながら調べてみたら、これが意外と面白かった。しかも、ただの小道具ってわけでもなく、当時の若者の“心の乗り物”としてバイクが出てきてるんだよね。
というわけで今回は、「昭和歌謡に出てくるバイクって何?」をテーマに、いくつか印象的な例を紹介しつつ、最後にはあの超有名な一曲——尾崎豊の『15の夜』に出てくるバイクはなんなのか?という謎にも迫ってみようと思う。
ツッパリの象徴? 嶋大輔『男の勲章』
まず外せないのがこれ。昭和57年(1982年)リリースの嶋大輔『男の勲章』だ。
この曲はもう、旧車會アンセムとでも呼びたくなるような名曲。サビで叫ぶ「オレたち、ナメられたまんまじゃ終わんねえぞ!」的な勢いが最高にアツい。
で、この嶋大輔が乗っていたバイクが、ホンダ CBX400F(と思われる)。
歌詞には車種は出てこない。でも、当時のテレビやプロモーションビデオ、果ては舞台での演出などを見る限り、CBXに跨ってる姿がバッチリ残ってる。
三段シート、直管、絞りハンドル。完全に族車カスタム。ある意味「昭和の不良の理想像」そのものだった。
ヨコハマでチーク? 近藤真彦『ヨコハマ・チーク』

『ヨコハマ・チーク』とは違い、『ブルージーンズ・メモリー』のジャケットにはバイクが映り込んでる。これは……?
次に紹介したいのが近藤真彦の『ヨコハマ・チーク』(1981年)。
この曲はちょっと異色で、チークダンスという“甘酸っぱい文化”と横浜の港町が舞台。
で、歌詞にはバイクの具体名は出てこないんだけど、どう考えても乗ってるのはナナハン(たぶんCB750)っぽい雰囲気なんだよね。
実際、映画やタイアップ映像ではCB750が使われることもあって、「真っ赤なヨコハマにナナハン」ってだけでもう青春のフルスロットル感がある。
今だったら……キザすぎてちょっと笑ってしまうが、それがまた昭和の良さなんだよ。
銀蝿にまたがるのは……横浜銀蝿『ツッパリ High School Rock’n Roll(登校編)』
昭和の“バイクと不良”を語る上で、横浜銀蝿を外すわけにはいかない。特に1981年の『ツッパリ High School Rock’n Roll(登校編)』は、完全にバイクで登校してる設定だ。
じゃあ乗ってるのは?というと、これはもうZ400FXやホンダ ホークII(CB400T)などがテッパンだろう。
実際、当時のライブやPVで使用されていたのもそのへんの車種だ。三段シート、爆音マフラー、族ヘル……もう全部盛り。
今では考えられないが、あの頃は“バイク=反骨”の象徴だったんだよなぁ。
ちょっと時代はずれるが…『愛が生まれた日』のMVにも
少し時代は後になるが、1994年のヒット曲、藤谷美和子と大内義昭の『愛が生まれた日』にもバイクが登場する。
しかも、MVで使われていたのが、なんとヤマハ セロー225。
歌詞とはまったく関係ないけど、MVの中で女性がセローに乗って軽快に走るシーンが印象的だった。
当時としては、女性がバイクをサラッと乗りこなす姿が新鮮だったかもしれない。時代の変化を感じる一コマだ。
さて、最大の謎『15の夜』の「盗んだバイク」は何だったのか?
では、いよいよ本題だ。尾崎豊の『15の夜』(1983年)。
言わずと知れた不朽の名曲。
「盗んだバイクで走り出す〜」のフレーズは、昭和だけじゃなく平成初期にもずっと語り継がれてきた。
が、しかし。この「盗んだバイク」って、一体なんの車種だったのか?
これはずーっと気になっていたけど、調べてみたら本人が公言した記録は残っていない。つまり、答えはない。だが、有力な説はある。
有力候補その1:ホンダ・ダックス or スーパーカブ
尾崎が中学時代に乗っていたという証言があるのがホンダ・ダックス。もしくはスーパーカブ。
このあたりの原付ミニバイクは、手頃で目立ちにくく、まさに「盗んで走り出す」にはうってつけ(いや、犯罪はダメだが…)。
つまり、リアルな路線で考えると、このへんが一番現実的だと言われている。
有力候補その2:ヤマハ RZ50やホンダ MBX50
もうちょいカッコつけた説になると、RZ50やMBX50といった、当時の不良少年たちの憧れが浮上する。
特にRZ50は、見た目がレーサーっぽくて人気が高かった。スピードも出るし音もデカいし、走り出すには最適(?)。
このあたりは、尾崎が“理想のバイク像”として思い描いていた可能性もある。
でも結局のところ……
『15の夜』に出てくるバイクは、あくまで自由の象徴だ。
「盗む」という行為は社会への反発、「走り出す」は自分を解放する行為として描かれている。
だからこそ、あえて車種を明言しなかったのかもしれない。誰が聴いても「自分のことだ」と思えるように。
その意味では、あのバイクは“俺たちのバイク”だったとも言える。
まとめ:もうバイクは歌に出てこないのか?
さて、ここまで懐かしい曲を振り返ってきたが、ふと考えてしまう。
今の若者たちの歌に、バイクは登場するのだろうか?
令和のヒット曲には、クルマもバイクもあまり出てこない。どちらかというと、スマホとか、夜の街とか、デジタルな世界観が多い。
バイクが、もう“若者の象徴”じゃなくなってきてるんだな。
そう思うと、なんだかちょっと寂しい。
でも俺たちは知ってる。
あのエンジン音と、あの風と、あの夜のことを。
だからこそ、昭和の歌とバイクは、これからも語り継いでいきたいと思うんだよな。
※この記事を読んで、「俺はこの曲に出てくるバイク知ってるぞ!」ってのがあったら、ぜひ教えてくれ。昭和歌謡とバイクの世界、まだまだ掘れるネタはいっぱいあるはずだ。