ここ数年、旧車會のトレンドは「コールが切れるバイク」。「族車」や「暴走族」が下敷きになっているのが旧車會で、「大人の財力で少年のマシンを仕上げる」という側面もあったが、若い世代がどんどん旧車會に参加するに連れて「自身が目立つ手段」を模索していった結果、コールの技術が飛躍的に伸びたものと思われる。
バイクのカスタムもさることながら、コールが切れるマシンへの人気が集中することにもなった。CBX400FやGS400Eの人気に拍車がかかったのも、こうした文化が成熟してきたからだろう。
安定して評価が高いバイクはコールマシンとして高いパフォーマンスを発揮するタイプが中心になっている。
王道はCBXとGSの4発と2発の王者だが、近年、人気が右肩上がりのバイクがいくつかある。
それがCBR400FとXJR400。
爆発的なヒットを飛ばしたCBXの後継として、当時としては最新の技術を数々搭載して登場したのがCBR400F。当時としてはハイパワーだったCBXから、さらに10馬力を上乗せした自主規制値ギリギリの59馬力のエンジンを搭載していた。この力を受け止めるために設計された角断面パイプのフレームは軽量・高剛性をもたらした。
対するXJRは2000年以降に突如として発生したネイキット・ブームに対応するため、ヤマハが開発したバイク。ヤマハにとってXJ400は空冷4発の金看板。これに「R」を付けてリリースしたのは、先行するゼファーに対して「レーシーさを併せ持ったネイキット」というコンセプトをぶつけていったため。あえて抑えた最高出力は53馬力も、世のバイクが水冷に移行していくなか空冷4発の存在感は大きかった。
コールマシンとしての特性
【CBR】
CBRの売りはなんといっても59馬力の高出力。出力の差は、そのまま音のデカさにつながる。CBXが48馬力だからその差は歴然で、なおかつエンジンのベースはCBX。CBX用スイッチボックスの換装も容易とくれば、コンテストなどでも重用される理由がわかる。
【XJR】
CBRに劣るとはいえ、53馬力は他の空冷4発エンジン搭載バイクに比べたらかなりの高出力。比較的新しいバイクで壊れにくく、エンジンもアクセルワークに対しての反応が丁度良くアクセル自体も軽い。所有者に言わせると、「誰でもコールが上手くなったように感じるバイク」だとか。
デメリット
【CBR】
一番は価格。1~2年ほど前だったら、CBRは100万円以下で購入することは可能だった。それがこの旧車バイク全体の価格高騰により、CBRも中古車市場での価格が上昇。200万円を超えるバイクも増えてきた。
また、中古の場合は個体差が激しい点も挙げられる。前オーナーによってはエンジンをブン回しすぎて修理代が購入費を上回る……なんてことも。
【XJR】
エンジンに特有のクセがあって、コールの音色にもそれが影響する。また、新しめのバイクで元々コールが切りやすいので、コンテストなどではその点が割り引かれてしまう可能性もあるようだ。
片や旧車、片や現行車で市場価格もかなりの開きがあるため、この2台がバイク購入の比較対象ということは考えにくいが、どちらもコールという観点ではアドバンテージを持っているバイク。
正直、もう少し価格帯が近かったら比較もあるいは……といったところだろうか。CBRとXJR、あなたならどっちの“R”をチョイスする?
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