古くから旧車會でバイクに乗っている方にとっては常識の話なのかもしれないが、実はずっと疑問だった話。
「バイクのチェーンってどこが伸びるの?」
これ、パッと答えられる方はどれだけいるのだろう。
チェーンはテンションがありすぎても、逆にゆるすぎてもよろしくない。それは分かる。
チェーンが張りすぎているとサスペンションがストロークしなくなり、動きが悪くなるため危険。逆にチェーンがユルすぎると異音の原因になったり、加減速の際のショックがおおきくなったり、スプロケットが減っている場合はチェーンが外れてしまう危険性もある。
という具合にエンジンと車輪をつなぐ大動脈でもあるチェーンは、適正な状態でないと様々な不具合が生じやすい。
ただ、チェーンのコマひとつひとつは鋼鉄製で、そう簡単に伸びるとは考えにくい。そしてそれだけ重要なパーツというのはメーカー側でも十分理解しているので、チェーンが伸びてしまうのは考えにくい。
では、チェーンはどこが伸びてしまうのだろうか。
結論から言うと、チェーンは伸びない。
ただし、チェーン自体は伸びないが、個々のコマをつなぐピンと、ブッシュといわれる内径にハメ込んだパーツが摩耗してすり減ることで、結果的にチェーンの全長が伸びるというわけだ。
この摩耗だけでもチェーン全体では1センチ以上伸びることも珍しくない。チェーン交換をしている方なら体感として把握しているだろうが、コマが100個あればピンとプッシュの摩耗で0.1ミリずつ間隔が広まったら、全体では1センチ長さが変わる。
実際にチェーンを交換するタイミングは、時間の経過より摩耗の度合いが目安となる。
新品購入時から全長が約1%伸びたタイミングが交換時期、と言われている。多くのチェーンが160~180センチなので、1.6~1.8センチ伸びたら交換時期、というわけだ。
交換時期が来ているかどうかの判断は付きにくいため、スイングアーム後端にある「チェーン引き」の目盛りを参考にするのがよさそう。
新品に交換した際の目盛りを記録しておいて、そこから交換サインである1.6~1.8センチを2で割った(折り返されているため)、8~9ミリほど移動させた頃が交換時期と考えたら如何だろうか。
掃除や潤滑剤などのメンテナンスをこまめに行っていくことで寿命を延ばすことはできるが、グレードや制作メーカーによっても強度や寿命に幅があるので、長めのツーリングなどの前にはチェックしておきたいところだ。