今回、紹介したいのは、1980年に公開された『狂い咲きサンダーロード』。暴走族同士の抗争が主軸に描かれているので、暴走族映画のカテゴリーということでいいだろう。
ただし、舞台設定は相当にクレイジーで、バイオレンス映画と呼ぶにふさわしい作品だ。
(C)東映セントラルフィルム
・元祖ジェットコースター・ムービー
幻の都市・サンダーロードを根城にする暴走族が、新道交法の成立を機に「愛される暴走族になろう」と考える暴走族・魔墓呂死(まぼろし)らのメンバーが結成したエルボー連合と、あくまで暴走族としての本分を守り抜こうとする、同じ魔墓呂死内の急進派グループとの対立が主軸。
道交法を無視し、暴走を繰り返す急進派グループ。そして、これに対して制裁を加えるべく動き出すエルボー連合……という図式なのだが、凄いのはここから。
登場人物がバンバン死ぬのは当たり前。両チームの仲裁にスーパー右翼が登場するわ、麻薬密売人の小学生が登場するわ、連続爆破事件の指名手配犯が登場してショットガンやバズーカをぶっ放して、次々と街と人を爆破するわで、中盤からクライマックスまで、息つく暇もないほどの急展開に次ぐ急展開が待っている。
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・石井監督の初期代表作
主人公は、これが映画初主演の故・山田辰夫。主題歌と映画ポスターを泉谷しげるが担当、劇中歌には泉谷と、当時人気だったロックバンド・頭脳警察のPANTA&HAL、THE MODSなどが起用された。
監督はこれ以外にも『逆噴射家族』『爆裂都市BURST CITY』などの快作を残した石井聰亙(現・石井岳龍)。作品自体は、大学の卒業制作として撮った自主映画だった。
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・業界にもファンが多い作品
作品は、この年の映画賞で様々な賞を獲得するなど業界内でも高評価。北野武や『全員死刑』『ヘドローバ』の小林勇貴監督など、業界内でもファンが多い作品だ。
昭和の作品と侮るなかれ。むしろ、規制に縛られない自由な発想にドギモを抜かれるハズ。単車好きなら、ぜひ一度ご覧いただきたい作品だ。
執筆者:i-Q JAPAN編集部