街道レーサーのカスタムは意外と様式美を重んじるところがあり、大方の予想にそぐわない選択をすると、「わかってない」というレッテルを貼られがちだ。街道レーサー全盛期には誰も想像がつかないような破天荒さをもって世間に衝撃を与えるような仕様もあったが、世間の目も当局の監視も厳しい昨今では、そういった仕様に仕上げること自体が難しくもある。
今回、ここで紹介するジャパンは、そうした監視の目をかいくぐれるというか、スタイルとしては大きな問題はないがインパクトは強いという稀有な仕様の一台だ。
もう、パッと見で印象しか残らないショッキングピンクのボディに水色の水玉模様がまずヤバい。過去に例がないわけではないが、スッと思いつくのは『シャコタン★ブギ』のハジメちゃんソアラ仕様くらい。それだけにインパクトも強烈だ。
さらに面白いのが、プレスラインをなぞるようにフリーハンドでラインが加えられている点。フリーハンドで書き加えられているため、よりマンガ感が強調されている。逆に、叩き出しのフロントフェンダーやサーフィンラインも、このラインがあることで強調されることに。また、ところどころヤレ感を演出しているのも面白い。
もっとも面白いのが、いわゆる“オノマトペ”が書き加えられている点。オノマトペとはマンガの擬音を図案化したもので、ボンネット上の『ゴォォォン ゴォン』がそれ。
様々な現場で街道レーサー仕様の旧車を拝見しているが、さすがにこういった仕様はお目にかかったことがない。スプレーではなく、塗料でハケ塗りしている点も好感が持てる。
マフラーは短めながら竹やりの2本だしで、中間は星型のマークを溶接して強化。このマフラー部分にもラインを入れるなどして統一感を保っているのが面白い。
ちなみに、こちらは沖縄の車両。旧車が入ってきにくく、四方が海のため塩害なども切実で保管にも細心の注意が必要なはず。それでも、この独創性でこのクオリティを保っているのは尊敬に値する。