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【なめんなよ】ネコがツッパって何が悪い! 80年代を総ナメにした「なめ猫」って知ってる?【昭和の風物詩】

特攻服や学ラン、スケバンスタイルなど、昭和の雰囲気あふれる不良ファッションに身を包んだカワイイ子猫たち……。

最近でも新作グッズやコラボなどで話題になったから、目にしたことがあるのではないだろうか。

1980年に名古屋で生まれ、「カワイイ子猫」と「イカついツッパリ」という異次元の組み合わせがかもし出す、独特なスタイルとインパクトのあるビジュアルで一世を風靡し、80年代を代表するアイコンとして君臨した「なめ猫」だ。

ちなみに、正式名称は「全日本暴猫連合 なめんなよ」。そのキャッチフレーズが「なめんなよ」だったことから略され「なめ猫」となったそうだ。

前回の「なめ猫」記事に続き、その歴史をおさらいしてみよう。

 

見た目のとおり、モデルは本物の猫

ちなみに又吉は、女の子でした

 

なめ猫の仕掛け人は名古屋でアイデア会社の社長を務める津田覚さん(当時31歳)。

当時、なめ猫のモデルとなった猫たちは元々、動物好きの津田さんが近所のクリーニング屋から引き取り大切に育てていた4匹の仔猫たち(又吉、ヒゲ夫、ニャン太、タマ三郎)だった。

ある日、津田さんの当時の恋人が置き忘れていった人形の洋服に興味を持ち、それを面白半分に着せて撮影したのが、そもそもの始まりだったという。

津田さんは以前にも、スーパーカーのポスターを売り出して大ヒットさせていた。その経験を活かし、当時のツッパリブームにあわせて、暴走族風の衣装を着せて売り出した

「本物の仔猫に衣装を着せて座らせ、正面から撮ることで直立して見えるように撮影したもの」という、今までになかったモチーフを元に、数々の商品が作られた。

それが空前の大ヒットを飛ばすことに!

 

80年代のナウいヤングをメロメロに!


 

初代のなめ猫グッズは、1980年から1982年まで発売された。OLの間での口コミで人気に火がついた「なめ猫ブーム」は、ポスターは600万枚、自動車の免許証風のブロマイドは1200万枚を売り上げた。

これらのキャラクターグッズの売り上げは1980年だけで26億円、1982年までに、なんと570億円以上! 当時の大卒初任給の平均が11万円だったというから、とんでもない売り上げだということが分かるだろう。


 

特に「死ぬまで有効」、「なめられたら無効」といったフザケた表記がウケて一大ブームとなった免許証風ブロマイドは、なめ猫以外にも、芸能人・アニメ・映画のキャラクターやエリマキトカゲなどを使った派生商品が多数販売された。

おまけにブーム最盛期には、交通違反者が運転免許証提示命令に対しこぞってこの「なめ猫免許証」を出して見せたとか。そのせいで警察が発売元へクレームを入れたというから冗談みたいな流行りっぷりだったのだ。

その他、文具・写真集・レコード・ゲームなど、1982年までに約200社から520アイテムのキャラクター商品が発売されたという。

全世界限定15本のフランクミュラーコラボウォッチも!

 

 

あふれる魅力とその後

最近では「東リべ」とのコラボも果たしている。割とお似合い!?

 

なめ猫の魅力は、その反抗的で挑戦的な姿勢にある。

当時の日本社会では、経済成長とともに厳格な規範が求められる一方で、若者たちは自由と個性を求めていた。なめ猫はその象徴として、多くの若者の共感を呼んだのだ。

不良文化をパロディしつつも、子猫という愛らしい動物がそれを演じることで、ユーモアと親しみやすさが加わり、幅広い層に受け入れられたわけだ。

また、なめ猫ブームは、メディアの影響力によるところも大きかった。テレビ番組や雑誌での特集が組まれ、総理府の政府広報までもが全国青少年健全育成月間のイメージキャラクターとしてなめ猫を新聞で大きく扱うほど。

こうして、なめ猫の存在はますます広く知られるようになった。


 

しかし有名になった分、横槍も入り始める。マスコミや動物愛護団体から猫への虐待を疑う声が多く寄せられたのだ。

「あの猫たちは間違いなくハクセイだ!」「棒を入れて立たせている!」「針金で体をグルグル巻いて固定しているでは?」「石膏で固めた服を着せているんだよ!」「いやあれは合成写真だ!」「麻酔注射を打って意識モウロウとさせて撮影をしている!」などなど。もしネット時代だったら大炎上していたことだろう。

だが、あたかも立たせているように見せかけているものの、実際には衣装と撮影方法に仕掛けがあり、猫は前足を上げていただけであり、撮影が虐待とするほど過酷ではなかったと考えられる。

また、津田が多忙になったこともあり、商品発売は終了した。その後なめ猫たちは、スタッフや希望者に引き取られたという。

ちなみに服の中はこうなっていた。無理やり立たせていたワケじゃなかったのだ

 

 

なめ猫の可愛さはこれからも



 
今は令和なので、もちろんLINEスタンプも出てるぞ!

 

なめ猫の成功は、日本のキャラクター文化の発展にも大きな影響を与えたと言われる。かわいらしい動物と反抗的な不良スタイルの組み合わせという斬新なアイデアは、その後のキャラクター商品にも多大な影響を与えた。また、マーケティングやブランディングの観点からも、なめ猫は非常に成功した事例として研究の対象となっている。

ちなみに、今では当たり前のように売っている犬用の服も、なめ猫ブームがあったからこそ商品化されたと言う説もあるのだ。

現代においてもなお「なめ猫」は時折リバイバルされ、その独特な魅力は色褪せることがない。特にインターネットやSNSの普及により、なめ猫の画像や動画が再び注目を浴びることもある。昭和の時代を知る人々にとっては懐かしさを感じさせる一方、若い世代にとっては新鮮な驚きとして受け入れられている。

総じて、なめ猫は昭和の若者文化を象徴するユニークな存在であり、その影響力は現在も続いている。又吉、ヒゲ夫、ニャン太、タマ三郎の4匹がモデルを務めたこのキャラクターは、時代を超えて多くの人々に愛され続けるだろうな。

● 参考サイト:nameneko.com

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