旧車と呼ばれるバイクはどれも、最低でも35年は経っている車種ばかり。その分、外観やコンディションもマチマチならカスタマイズ具合もマチマチ。まさに玉石混淆と言えるだろう。そんな中で、20年ほど今の状態を保っているCBXを紹介しよう。
今回の主役は、ホンダCBX400FのⅡ型。1983年に登場した後期型で、Ⅰ型よりも洗練されたスタイリングと完成度の高さが特徴だ。
いかにも旧車らしい雰囲気を漂わせているカウルはオーナー曰く「キジマの当時ものです」。ツートーンカラーのペイントは白地にソリッドな赤の2本巻き。シンプルながら個性的という、デザイン性の高さが感じられる。
ヘッドライトはスタンレー 001-1941。言うまでもなく、CBX400F純正のもの。無骨な雰囲気も、旧車カスタムのリアルさを物語る部分だ。
マフラーはJYS。お馴染みのBEETパーツも一通り揃えてあり、エンジン自体のコンディションも良好。リア周りも純正品そのままとのこと。
ゴールドのBEETポイントカバーやフィンカバーが光り、エンジンブロックとのコントラストが実に鮮やかだ。配管の取り回しやサビ具合も年式を考えれば上々で、日常的にしっかり手が入っていることが伝わってくる。下から覗き込めば、4-2-1のエキゾーストが力強くうねりながら後方へと伸び、見る者に“音”まで想像させてくれる。
フロント周りはⅡ型の特徴のひとつである黒ホイールでほぼノーマルの状態を維持している。特徴的なインボードディスクのボリューム感も相まって、足元から漂うのは、まさにⅡ型CBX400Fならではの武骨さと華やかさの同居である。
テールカウルにもツートーンカラーが刻まれ、“後ろ姿で語る”族車のセオリーに忠実なスタイルを構築している。そして川口三段シートは、白い座面に赤のパイピングという鉄板の配色で仕上げられ、全体のカラーリングをさらに統一。リア周りだけでも十分に『俺の一台』を主張できる個性を放っている。
Ⅰ型とⅡ型でハッキリ違うのが、このメーター。計器のレイアウトはほぼ一緒だが、メーターの文字が全て朱色になりフォントも違うのが見分けるポイントだ。ハンドルはHAWKⅢのものに付け替えている。
また、シンプルな交換ながら、グリップやスイッチ周りの雰囲気が変わることでコックピット全体の印象も大きく違って見える。
こうして細部まで目を凝らせば凝らすほど、このCBXⅡ型は「保存」だけではなく「自分だけの一台」として愛情を注がれてきたことが伝わってくる。オーナーが苦労した点として「維持すること」と語っているが、20年の時を経てなお、当時の熱気を纏ったまま走り続けている――まさに旧車文化の粋を体現した存在である。
■オーナー:ゆうだい
■ひとこと:来る時に、ミラー飛んで行きました… どこかでお会いしたら、ヨロシクお願いします。