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【編集長のぐだぐだ西遊記①】F-AUTOでがっつり語らう、の巻【ほぼ日刊】

本日よりスタートする、編集長・ミサイルの西日本取材記。取材翌日には原稿をアップしながら旅を進めていくという、ほぼ同時進行スタイルの企画です。いったいどういう流れになるのか本人も見えてませんが、豪快に見切り発車でスタートします! 
私事で恐縮だが、やっと運転免許を取得した。といっても初めての免許ではなく、これが2回目。小さな違反を短期間に繰り返し、あれよあれよという間に15点を超過するというたぐい稀なる(単なる馬鹿だと今では思う)取り消し処分から早10数年。さすがに免許必要っしょ、ということで激務(自称)の合間を縫って、再取得にこぎ付けた。

すると、社長がお祝いで飲み会を開いてくれるという。や…やさしい! ということで、i-Q JAPANスタッフと、その他手が空いてる社員数名による宴席がもたらされた。

酔いもだいぶ回ってきたところで、過去どんなところに取材に行ったかという話になった。これまでいろんな媒体で仕事をしてきていて、とある1県を除く46都道府県を訪れたことがある。「いやーデコトラだけをヒッチハイクで乗り継いで、鹿児島から東京まで移動したことあるんすわー」などと得意げ(かなりアゴしゃくれめで)に話していた。酔っ払っていたので、「西日本なら地図見なくても移動できる」程度の風呂敷は広げていたかもしれない。

スタッフ「マジっすかー!」

俺「おう、マジマジ」

スタッフ「すごいっすね!」

俺「おう。まぁな!(グビッ)」

スタッフ「じゃあ、免許あるし、今度は自走で回れちゃうんじゃないですか?」

俺「余裕じゃね(グビッ)? すみませーん、ライムサワーおかわりくださーい」

社長「それ、マジで面白いですね!」

俺「ですよね! 自分も(あくまでも案として)そう思ってました!」

社長「西のほうって、お知り合いの方はいます?」

俺「それなりにはいます」

社長「その方々に会いに行くっていうのはどうです?」

俺「面白いですね!(行かないけど)」

社長「じゃあ、一ヵ月後スタートにしましょうか?」

俺「何をですか?」

社長「その、西日本の旅ですよ」

俺「……自分が……行く?(行かないけど)」

社長「やだなぁ、そういう話の流れだったじゃないですか(笑)」

なぜだろう、さっきまであんなに優しく見えていた社長の心が、もう見えなくなっている。西野カナが曲を作るときの気持ちって、こんななんじゃなないだろうか。風呂敷を広げすぎてしまった……。こうなったらもう、自分に残された選択肢はひとつしかない。

俺「一ヵ月後なんていわないで、2週間後にしましょうよ!」
とまあ、ここまでが前置き(長っ!!)

九州から入って西日本を攻めていくことにした。実は29日の日曜日に宮崎でチーム撮影も予定していたのだが、まさかまさかの台風直撃! しかも宮崎をかすめていくという、どうにもならないパターン! 過去には降水確率80%をかいくぐったことのある自称晴れ男の自分も、こればっかりはどうしようもない。宮崎の皆さん! 必ずまた伺います! 単車、ビッカビカにしておいてください!

ということで、1日予定はズレたが、本日の訪問先は福岡のF-AUTOさん。FRPパーツをオリジナルで製作したり、車両をフルカスタムしたりという仕事をずっとやってきた、旧車會系のショップとしては九州の草分け的存在。代表の札本さんは、なかなかの男前なのだ。
お昼すぎに会社を訪問すると、いきなり「メシ食いました? 近くにお勧めのラーメン屋があるから食べてないら一緒に行きましょうよ!」と、挨拶もそこそこに札元代表の愛車プリウスで、近くのラーメン店に。「この辺じゃピカイチ」(札本さん)だというそのラーメンは、豚骨醤油のやさしい味。スープをひと口いただくと、豚の甘みがじんわり口のなかに広がってくる。生臭さも、ほぼ感じられない。旧車會の有名人たちも、みな絶賛の味だそうだ。
F-AUTOのある福岡県豊前市は、すぐお隣が大分県中津市。ということで、お土産にかの有名な『中津から揚げ』発祥の店のひとつ、『もり山』のから揚げを買って帰る。これがまた美味い! 塩味をベースに、パンチの効いたにんにくタレが染み込んでいて何個でもいけちゃう。こりゃ人気になるわー!
そんなこんなで、から揚げを食しながら話を伺う。好きなことを仕事にしたいと、若くしてショップを立ち上げた札本さん。最初はプレハブ小屋のような立地からスタートして、徐々に規模を拡大していったそうだ。

「お金になりそうなものは、だいたい売りましたね。ひとつ手放さないと、その時に掴みたいものは掴めないですから」

その言葉からも、相当な苦労が伺える。そして、どんな苦労のなかでも、曲げなかったポリシーも。

「真っ当にやる、ということです。FRPのパーツを作るときも、ちゃんとした職人さんにちゃんとした厚みのある素材で、ちゃんとした形を作って製作していますし。一度だけ、その職人さんに『もうちょっと安く作れるパーツを作ったほうがいいですかね?』って、相談したことがあります。でも、言われましたね。『一時はいいけど、長続きはしない。楽をするな』って。そのとおりだなと思って。だから、そこだけは曲げないように。うちのカウル、左右で歪みがないんですよ。着けた人から、『なんだこんなもん』って言われないものを作っているつもりです」

形にしたものは、あとまで残るもの。だから将来のことも二手先、三手先を考えているのだとか。単車のカスタムでも、若者たちからの依頼には、特に力を入れているそう。

「少ない予算のなかで、いかに興味が持てる単車に仕上げるか。これからの旧車會を作っていくのは彼らなんで、彼らにそっぽを向かれるものを作っちゃいけないと思うんです。若い人は正直ですからね」
そして、最近力を入れているのが、エンジンのオーバーホール。なんと、元HRC(ホンダ・レーシング・コーポレーション)のスタッフがいるのだそう。

「判断が早いし、的確。そのうえ、自分の納得がいかないと、一度組んだエンジンを平気でバラしますから。しかも仕事がめちゃくちゃ早い。最初のころ、早いですねって驚いていたら、『あほう、レースのときはひと晩でオーバーホールするときもあるんだから時間かけすぎなくらいだ』って言うんです。でもそのエンジン、よそで直しきれないからって、一度断られてるものなんですよね。完全に格が違います」

部品さえあえれば、たぶん直せないエンジンはないんじゃないかな? とも。そう語るだけの信頼がおけるスタッフが腰を据えていてくれるのも、札本さんの人間力あってのことだろう。

こんな感じで、とにかく熱い男・札本さん。このあとも、「温泉はいりましょう!」といって、近くの露天風呂で2時間。「メシ行きましょう!」といって、中津の居酒屋で2時間。がっつり話し込んだ。実はこれまで、ここまでしっかり話をする機会はなかったのだが、いっぺんで距離がめちゃ近くなった。「明日の昼は揚げ定食いきましょう!」といって、散会するのであった。
カスタムプロデュース F-ATUTO
住所:福岡県豊前市大字恒富203-3
電話番号:0979-82-2377
営業時間:10~19時
定休日:日曜・祝日
H.P.:http://ma728ko.ocnk.net/

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