プロ野球の世界は、言わずと知れた実力の世界。それも「子供のころからエースで四番」みたいな猛者ばかりが集まってくる才能の塊がウジャウジャいる世界だ。
いうなれば実力がすべての環境にいたので、天狗になって増長してしまう選手は少なくない。
今では人格者として知られる現ソフトバンク・ホークスの会長、王貞治や、“喝おじい”こと張本勲も、かつては東の王、西の張本と評されるくらいの不良だったとか。それが後に世界のホームラン王&3000本安打者という、当時の日本記録保持者になる世界だ。
歴代で調べていくと、とんでもない数の不良実績を持ったプロ野球選手が上がってくるが、現役選手ではどんな選手がいるのか? 今や全米でも大ブレイク中の大谷翔平選手のヤンキーの噂は? 諸々調べてみた。
ダルビッシュ有/サンディエゴ・パドレス
言わずと知れた2020年度のメジャー最多勝投手も、高校時代はめちゃくちゃワルかった。越境入学した東北高校では3年夏に甲子園出場。投手としての才能は当時から圧倒的で、バントを失敗した先輩に「せめて転がすくらいちゃんとせえや!」とどう喝するくらいの狂犬っぷりを発揮していたそうだ。
北海道日本ハムファイターズにドラフト1位入団も、パチンコ店で喫煙する姿を写真週刊誌にスッパ抜かれて謹慎処分をくらうという不祥事を起こしている。
ただ、その後は更生してタバコも辞めて野球道にまい進。日本では投手タイトルを総なめにしてメジャーに渡った。一度失敗しても、世界最高峰の頂点にたどり着けることを、身をもって証明してくれた。
中田翔/元読売ジャイアンツ
ダルビッシュや大谷も在籍した日本ハムファイターズから巨人に移籍し、先日自由契約になった中田翔も学生時代はヤンチャで鳴らしたクチ。高校野球の超名門・大阪桐蔭高校でもエースで四番という才能から、彼を止めるものは誰もおらず。
学生時代、マウントを取ってきた先輩にムカつき、頭から洗濯機にツッコんだという逸話も。
さらに、それを確認した記者に対しては
「洗濯機やない、乾燥機や」
と、行為時代は否定しない上に尾ひれを付けてアップデートするというお茶目な一面も。
とはいえ、チーム内の暴力疑惑によって日ハムから追い出されたのも中田。拾ってもらった巨人からの退団が決定しているが、新天地ではヤンチャもほどほどにしたいものだ。
森友哉/オリックスバファローズ
その中田翔とは大阪桐蔭高校の先輩・後輩の関係で、西武ライオンズからFAでオリックスバファローズに移籍した森友哉も、筋金入りの元ヤンだ。
中学の卒業式には卒ラン替わりの特攻服姿で参加。卒業後は「暴走族を取るか、野球を取るか」で真剣に悩んだ筋がね入りで、中学時代は飲酒喫煙あたりまえ、校舎のガラスは割るは、ムカつく校長の車は壊すはと、ヤンチャでは収まらない不良っぷりを発揮していた。
高校時代も、野球部の監督に「中田以上の不良は現れないと思ったが、森があっさり更新した」と言わしめたほど。
ただし、野球では高校野球史上7校めとなる春夏連覇を達成。ドラフト1位で入団した西武ライオンズでも正捕手の座を掴み、2019年にはパ・リーグの首位打者に輝くなど、野球人としての活躍も目覚ましい。
相内誠/元西武ライオンズ
相内は12年ドラフト2位で西武入団。仮契約後に仮免許運転違反を犯し、入団は一時凍結。14年には未成年ながら飲酒、喫煙も発覚した。その後も乗用車の事故、自宅待機中でのゴルフなど問題を起こし、2020年1軍未勝利のまま戦力外となった。
プロ野球の選手がこれだけ異なる行状の問題を起こした例は過去にない不祥事のデパート状態に。なお、退団の理由は不祥事の責任をとって、ということではなく“実力不足”だったというのがまた、悲哀を感じさせる。
九里亜蓮/広島カープ
広島カープのローテーション投手、九里亜蓮もまた、学生時代の不良エピソードには事欠かない。
ハーフで髪も茶髪と非常に目立っていて、中学の入学式当日に3年生からボコボコにされる。しかし、小さい頃から父親に「やられたらやり返せ」と教えられていた九里は後日その3年生のクラスに乗り込み番長とタイマン。一年戦争に勝って屋上の3年生のトップにタイマンを仕掛けるという、リアル月野花
(←ワーストの主人公ね)状態だった。
あまりの強さに当の不良グループからスカウトされ「特攻隊長」と呼ばれるようになる。
しかし、野球への情熱は押さえきれずに野球部に戻ることを決意するが、面白くない不良仲間から、様々な嫌がらせを受けることに。
そこで九里が放った一言が
先生、バスケが野球がしたいです!
というリアル三井寿の時代を経て、ドラフト2位で広島に入団。現在はローテーションの軸として、チームを支えている。
大谷翔平/ロサンゼルス・エンゼルス
そして気になる大谷翔平ヤンキー説。ポテンシャルだけなら日本球界の歴史をひも解いてもトップクラスで、どこまで天狗になっていても全く驚けない。
数々の資料を探してみたのだが……出てくるのはいい話ばかり。
「高校時代からマインドマップを作っていた」
「恩師に対して盆暮れ正月の挨拶を欠かしたことが無い」
「未来日記を付けて、それを本当に実現させた」
「お金には全く無頓着」
などなど、本当に悪い噂はひとつもない。あのイチローや松井秀喜でさえ悪口レベルなら見つけられるのだが、大谷に関しては本当に何も出てこなかった。
球界に元々ワルかった人は多数いる。ただ、真逆に野球だけを追い求める求道者も少なからずいることを、忘れちゃいけない。
執筆者:i-Q JAPAN編集部