“リアクション芸”というジャンルを広く世間一般に浸透させたお笑い芸人、ダチョウ俱楽部の上島竜兵さんが亡くなった。
過酷な状況でこそ真価を発揮する芸人で、「熱湯風呂」や「アツアツおでん」などでのリアクションを“芸”の域にまで高めた、第一人者とも言える存在。「絶対に押すなよ、は押せのサイン」「絶叫系アトラクションの鼻水・よだれはダイヤモンド」など、数々の名言を残した、プロの芸人だった。
そんな上島さん、過去には300人の暴走族と対峙したこともあるという。
後輩の有吉弘行がパーソナリティを務める『有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMER』(TOKYO FM)でかつて明かしたところによると、1993年に放送された冠番組『つかみはOK!』(TBS系)で、上島は矢沢永吉のモノマネを行ったのだという。
最終的に、体に巻き付けた爆竹をステージ上で爆発させて笑いをとるはずが、モノマネがまったく似ていなかったことで一部の永ちゃんファンが激怒。なかでも熱狂的だったレディースが「オマエ許せねえ、会いに来い」と、上島に詰め寄った。
普通に考えたら、この時点でかなりヤバい状況だが、さすがはリアクション芸人。「これはロケにできる」と考えて4、5人のスタッフと一緒に、そのレディースのもとを訪れたのだという。
ここで、予定調和的なロケが行えればよかったのだが、下交渉を全くせずに“ガチンコ”でむかったため、現場が大混乱。ロケ先に到着するとそこには300人の暴走族が待ち構えていた!
本気で怒っていたレディースが仲間に連絡を取って、人を集めてしまっていたのだ。
現場を収めるため、一旦はロケバスから降りてみたそうだが、周囲からは「上島ぁゴルァ〇すぞ!」などと怒号が飛び交い、警察まで出動する騒動に。
このままでは収録は不可能との判断が下され、ロケは中止に。バスに戻ってはみたものの周囲を取り囲まれ、カーテン越しに見た外の様子は「ゾンビ映画ようのだった」とか。
今から30年ほど前の出来事だというが、ひょっとしたら現場にいたという方もいるのでは?
当時はまだリアクション芸人も暴走族も地上波バラエティ番組での花形だったが、昨今のコンプライアンス強化の風潮で、どちらも出番は減少傾向に。ひょっとすると、そんな部分に上島さんも悩みを抱えていたのかもしれません。
上島さんのご冥福をお祈り申し上げます。