今は実物を見ることが少なくなってきた特攻服だが、“特攻”という和の精神を尊ぶアイテムであるため、その心意気を示す決め台詞には漢字を用いるのが一般的。特に背中の中央には、ひと言で説得力のある言葉が求められていた。
そこで頻繁に登場するのが「仏教用語」だ。
「守護神(しゅごしん)」「毘沙門天(びしゃもんてん)」「韋駄天(いだてん)」「地獄(じごく)」「餓鬼(がき)」などは、どれも仏教用語。なかにはチーム名になっているものもあるくらいで、意味もなんとなくは分かるんじゃないだろうか?
なかでも、特攻服の背中で非常におさまりがいいのがこちら。
「天上天下唯我独尊」
読み方は「てんじょうてんげゆいがどくそん」。長さといい入っている単語の強さといい、意味合いはともかく特攻服の背中に入る漢字としては最強レベルのインパクトを持っている。
この言葉はお釈迦様が生まれたときに叫んだといわれる言葉で、一般的には「この広い世界で、私だけが尊い存在だ」という意味合いで捉えられている。
ところが、この「天上天下唯我独尊」には隠された意味があるというのをご存じだろうか?
それが「人間とはこの世界にただ一人の、誰にも代えがたい命でありそのままで尊い」という意味合い。すべての生きとし生ける人すべてに当てはまるありがたいお言葉だ。
ものすごーく簡単にいうと「オレSUGEEEEEEEE!」ではなく「ナンバーワンにならなくてもいい、元々特別なオンリーワン」という解釈。一般的に知られているものとは真逆の意味合いだ。
正直、どちらの意味合いで使っているかと言えば前者が大半だろう。
ただ、隠れた意味合いまでもちゃんと把握していれば、誰かに「これってどういう意味なの?」と尋ねられた際にもスッと答えられたらカッコいい。
ただ、「人間は誰しもが尊い」という発想は、暴走族よりもむしろこれを叩くことに生きがいを感じているタイプの方々にこそ、必要な言葉ではないか?
参照元:通訳ガイド研究会
執筆者:i-Q JAPAN編集部