同じ“鯛”という魚を使って料理をしても、日本料理とフランス料理では口にした際の印象がまったく異なる。
日本料理は、いかに包丁を入れずに料理として成立させるか。そこに心血を注ぐものだが、フランス料理は素材の特性を活かすその一皿に、自分の持っている技術と感性のすべてをつぎ込んで仕上げる。
つまり、色や香りまで料理として楽しむ日本料理は、引き算。そしてソースやスープを加えて、相性のいい野菜を加えて、最終的に一皿の料理として仕上げていくフランス料理は足し算。同じ素材を扱っても、出来上がりは似ても似つかないものになる。
旧車會のバイクでいうと、サンパチにも同じようなことがいえるのではないか。
あくまでも旧車會の話ではあるが、バブは手を加えてこそのバイク。ただし、サンパチは鯛と同じで素材の良さを引き出す仕上げ方も、とことん手を加えて目指す極みへと仕上げていくやり方も、どちらの方向に向かうことも可能なバイクだ。
今回取り上げるサンパチは、見てお分かりのように素材を生かす日本料理タイプの仕上げを施している。
B1型サンパチの象徴でもある馬蹄型のヘッドライトやフォークブーツ、サイドのリフレクターがオレンジのままのリアフラッシャーなど、B1ならではの装備は、ほぼそのままに。ヤレたタンクも「むしろサンパチらしさ」と、そのままにしているのもサンパチ愛を感じさせる。
ただ、すべてが純正のままでは「旧車會」のくくりで紹介するには物足りなくなってしまう。
ホイールは前後とも当時もののセブンスターキャストを履かせて、リアショックには“ウイングコニー”を装着。ルックスを考えると、とても相性のいいアイテム。年季の入ったショート管も、全体の雰囲気にしっかりマッチしている。
驚くべきは、シートの白さ。ピンピン撥ねるオイルが“持ち味”ともいえる2ストのサンパチにあって、この白さのシートを保持しているのは、いかにメンテナンスをしっかり行っているかの証し。
オイルの撥ねこそサンパチ、という考え方も根強く、後輪より後方は一切洗わないという方も多いようだが、適度な洗浄とメンテナンスは、長持ちさせるという観点でいくと不可欠なようにも感じられる。
ちなみに、今後の予定は特にないのだとか。旧車會に限らず、再評価の機運が高まっており、価格も上昇中。今後も、人類共通の資産として、大事に乗り継いで頂きたい。
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執筆者:i-Q JAPAN編集部