韓国の二輪車は事業用がメイン(割となんでもバイクで運ぶ。プロパンのガスボンベとかも!)で、ホビーで乗ってる人はあまりいない。ましてや暴走族はそれこそ数えるほどしか存在しない。
二輪車産業があまり発達しなかったとか、韓国では車庫証明がなくてもクルマが持てるからバイクを買う機会が少ないとか、要因はいろいろあるワケだけど。
そんな韓国に関連して最近、こんな一枚の写真を発見した。
背景の看板からすると、確かに韓国のどこか、のようだ。
そしておそらくバイクはヤマハXJR400。デュアルカウルにアップハン、三段シートにケツアゲというゴリゴリの旧車會仕様で、しかも外装はファイヤーパターンというかなりの目立ち具合。
さらにこのバイクには大きな特徴がある。
それは三段シートの座面部分だ。
座面中央の、いわゆるラクダ部分がかなり高めで、こうした特徴があるのは沖縄のバイク。最近はそこまで多くはないが、ひと頃の沖縄ではラクダが高いシートがかなり流行っていた。その当時の面影が残っているのは確かだ。
そんな沖縄仕様(?)のバイクがなぜ韓国にあるのか。韓国の新手の走り屋か、日本に憧れたバイク好きか、日本からフェリーで渡った気合の入ったツアラーか、はたまた盗難車か?!
今のところ手がかりはこの写真一枚のみ。ここから得られる情報を分析してみよう。
まずは「ここはどこだ?」ということだ。
まずこの看板。「テグァン飯店」と読める。韓国の中華料理屋としてはありふれている名前なので、これだけでは特定は不可能だ。
では、もう一枚の看板に注目してみよう。
「モクポ(木浦)旧製」と書いてある看板。モクポといえば、韓国の最西南端に位置する港町で、かつて8千人以上の日本人住民を抱える日本人街だった。その関係で旧市街地には今でもその頃の和風建築や近代建築が多数残っていることで観光客も多く訪れる。
ちなみに「旧製」とは、今でいうところの「ビンテージ」みたいな意味合いだ。
これを元に、「モクポ テグァン飯店」で検索してみた。正直、こんな少ない情報だけで、写真の場所を特定できるのはまだまだ無理だろう……。そう思っていた。
すると、とあるブログにたどり着いた。
ビンゴ! 例の族車の後ろに写っている「テグァン飯店」は、まさにココだ!
つまりこの族車の写真、まぎれもなくモクポで撮られたものってコト。
とはいえソウルからモクポまでの距離は300km以上。高速道路はあるものの韓国では二輪車乗り入れ禁止なので、ソウルからはるばるやって来た、というのは考えづらい。
ではどうやってモクポまで来たのか? どういう人が乗っているのか? そしてどのように手に入れ、どのように走っているのか? 仲間はいるのか?
……知りたいことは尽きないが、残念ながら現状で分かることはここまで。もし詳細をご存知の方がいたら、ぜひ愛旧ジャパンにまで知らせてほしい。
韓国のバイク乗りは、その数こそ少ないものの、バイクに注ぐ情熱や愛情は相当のもの。いつかこのバイクの持ち主と出会って、アツい想いを語っていただきたいものだ!