2021年の年も押し迫った12月29日深夜、圏央道の高尾山トンネルで旧車會バイクの事故が発生した。転倒したバイクから乗員2名が転落。二人乗りバイクのうち、運転者は大たい骨骨折の重傷、そして後部座席に乗っていた女性は、不幸にも帰らぬ人となった。
さらに明けた31日の未明、今度は都内の首都高速道路でルーレット族が運転を誤り壁に激突、そのまま命を落としたという。
ふたつの事件に共通していえるのは、走りそのものが年末年始の恒例行事であったこと。そしてこうなる予兆は、すでにあったということだ。
確かに旧車會という存在は、元暴走族がその出自に大きくかかわっている。今でこそ暴走族を経由せず、直接旧車會に入る者も少なくないが、元々は暴走族だった者が免許を取って車検を取って交通ルールを守って走る。それが旧車會のなりたちだ。
そして首都高や湾岸線を走り回るルーレット族も、今では警察から“暴走族”の扱いを受けている、厄介者の存在。そこは命知らずが美徳とされる世界でもある。
たしかに、暴走族やスピードの頂点を目指すのに、命知らずなのは決して責められない。イモを引いたらその隙に“魔”が入り込んでくる。魔がさす、というやつだ。
ただ、旧車會もルーレット族も、出自はどうあれあくまで趣味の世界。命をかける場ではない。
まずは身の安全を確保すること。限界までは攻めない。できないことはやらない。そして、走り終わって家に帰って、誰も悲しませないこと。それを一番に考えて走って欲しい。
余計な口出しと言われるかもしれないが、メディアとしてこれだけは伝えておきたい。事故によって規制が強化される、という面は考えていないわけではないが、それよりなによりまずは命を守って欲しいということだ。
趣味の世界で命を落としてはいけない。
当たり前のことだが、見落としてしまいがちなことだ。
決して、見落とさないで欲しい。