以前にも、当コラムのコーナーで警察が暴走で使ったバイクを“整備不良だからちゃんと直して乗りなさい!”という通達(意訳だけど)を行って元の持ち主に戻した、というニュースをお伝えしてたが、これが実は「超フツーのこと」なのだという。
「“捨てバイ”したけど気に入ってたし、保管場所も分かってるから取り戻しにいったよね」という、「で、そのバイクは取り戻せたんですか?」とは絶対に聞けない事案が全国各地で繰り広げられていたことを思うと、隔世の感がある。
「じゃあ待ってたらいつかは戻ってきたのか!」
と、今さらながら思っている方も少なくないだろう。戻ってくるどころの話ではない。本来は持ち主に返さないといけないものらしい。
それというのも、本来は警察に押収の権限はあっても他人の財産を没収することは認められていない。そんな権限を警察が持ってしまうと、たとえば金品についても持ち主から取り上げたり、勝手に処分することができてしまう。
そうならないよう、警察ではなく“法の番人”でもある裁判所にしか没収の権限は与えられていないのだ。
ちなみに、ここを分けて考えないといけないのが整備不良と違法改造は別物ということ。
ライトの電球が切れていた、マフラーの音が基準値を超えていたなどは切符処理だが、違法改造は文字通り法を違えているので犯罪、という解釈になる。その際、バイクが犯罪の証拠となるので罪が確定するまでは警察も手もとに置いておく必要がある。そのための措置が「押収」だ。
だから警察もその点を混同されたくないので、押収の際には「任意提出」という方法をとるのが一般的。この際に「必要なくなったら返してね」と伝えれば、バイクに限らず押収品は帰ってくる。
旧車會の方々だと違法改造でバイクを押収されることはまずないだろうが、もしもの時は「返してね」のひと言を添えてくださいね!