2スト3気筒というジャンルは旧車會だとスズキのGT380がメジャーだが、実は先駆者はカワサキのSS。世界最速を目指して開発された500SSが世界で最初の2スト3気筒で、サンパチはこれの対抗馬だった。
実際に世界最速を成し遂げたマッハの人気は高く、当時は国内でも大ヒット。当然、70年代には族車仕様のマッハも数多く存在した。ただ、シンプルな構造の割にはデリケートでバイク初心者には扱いにくく、まさに“じゃじゃ馬”な面もあったことから年を経ることに「マニア向け」なバイクになっていったのは否めないところだ。
とはいえ、圧倒的な加速感や“じゃじゃ馬ならし”の爽快感は他では味わえないもので、その人気は衰え知らず。「沼」にハマる人は後を絶たない。
こちらのSS350は、そんな“沼”にハマったであろうオーナー氏の、シンプルながらも随所に手を施した心情が見て取れる仕様。
純正デザインの外装ながら、インパクトの強いキャンディーのイエローゴールドをチョイスし、フェンダーは前後とも換装。リアフェンダーはカワサキの象徴ともいえるド初期のカットアップを装着している。
スポークホイールにブレーキはドラムではなくシングルのディスク。このシンプルさのなかだから旗棒の存在感が生きる。
直キャブやメッキのバラチャンなどエンジン回りにも手を加えていて、しかも綺麗!
とても50年ちかくの年月を経たバイクとは思えないコンディションの良さが光る。フィンの外側に描かれた3本のシリンダーもオシャレだ。
そして冒頭でもふれたように、テールカウルはマッハならではのカットアップ。タックロールのシートの厚みの具合もこのリアからの姿をより一層際立てている。
かなり純正寄りの仕様のなかで、一番特徴的なのがこのハンドル。
80年代に流行した“鬼ハン”を意識した角度で装着!