今では当たり前に使われているインカムやスマホやETCを見ると、実に便利になったもんだなぁと実感する。
ETCが実用化される以前は、バイクツーリングにとって高速道路の料金所は悩みの種だった。
入り口ゲートで入場券を受け取り、一旦路肩に寄せて入場券を服のポケットなりバッグに入れて出発! 目的の出口ICに到達したらゲート直前で一旦路肩に寄せて停車して入場券と現金を用意。あらためてゲートに向かって料金を支払い、領収書と、時にはつり銭を受け取ってゲートを通過する。
ただし、それですべてが済んだわけではなく、もう一度バイクを路肩に寄せて領収書や釣銭をバックや財布に収納する、といったアクションも必要になる。
夏は服のポケットが少ないケースが多いし、冬であれば厚手のグローブを脱がなくては一連の動作がままならない。実に煩雑で面倒な工程を強いられていたものだ。
料金所前で路肩からゲートに戻る際にも、もしゲート前が渋滞の列になっていようものなら「割り込むな!」とばかりにクラクションを鳴らされることもあったし、それがいやで列に並んで順番を守り、いざ払う段階になってゲートでグローブの脱着やら財布やバッグの開け閉めをやっていると、これまたけたたましくクラクションを鳴らされることも少なくなかった。
時にはポケットに入れたはずの入場券を飛ばして紛失したり(その場合は容赦なく該当区間始発からの料金を請求された)、バッグの口を閉め忘れて財布そのものを道路上に落としてしまった仲間もいた。今思えば、当事の高速道路って本当にバイクに対する優しさを微塵も感じられないシステムだった。
仲間同士でツーリングをするときにも、一度高速道路を走りしてしまったらお互いの意思疎通はきわめて困難になった。出発前に目的地までのおおよそのルートや、立ち寄る予定のSA・PAは決めておいたものの、想定外のアクシデントに対応する方法が極めて脆弱だった。
数台のバイクを連ねて千葉発富士山着のツーリングをしたときのこと。甲府まではノンストップで走りきる予定で走り始めたのだが、なぜかRG250を駆るメンバーがガソリンタンクにビシバシとムチを入れるような仕草をしながら最後尾から先頭に踊り出て、そのまま談合坂SAに入っていってしまった。
ワケのわからぬまま、ほかの仲間たちとともに談合坂SAへ。
「バイクにムチを入れると走りが変わるのか!?」
と思ったのだが、当の本人は「ガソリン無くなってリザーブで走っているから、予定外だけど談合坂で給油したい」と必死に伝えていたのだった。
現代であれば笑い話にしかならないが、40年前は一つ一つが切実な問題だった。あらゆるデバイスが必要に応じて充実した現代だが、不自由だらけの昭和も言葉にならない楽しさがあった。
思い出とは実に厄介なもので、その当事にはつらかったことまでも懐かしくなってしまう。
目的地にたどり着くだけでもたいしたものだ! みたいなサバイバル的ツーリングをもう一度やってみたいと思う反面、記憶力の低下で目的地までの地図を記憶しきれずカーナビに頼りっぱなしになったり、雨の日や寒い日の走行をためらったり、長距離を走破するだけの気力や体力が足りなくなってしまった年老いた自分が悲しくなる。
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