すでに何十年と繰り返し行われている“成人式暴走”。
バイクや屋根なしの車に乗って成人式会場を走り回って注目を集めるこの「儀式」は、周囲の監視の目も厳しくなっていることから年々減少傾向にはあるようだが、令和の今現在も伝統的に行われている地域は少なくない。
そして成人式の開催からおよそ9ヵ月が過ぎた10月13日、千葉県警が成人式の日に集団で暴走行為を行ったとして、東京や千葉に住む17歳から21歳の男女22人を、道路交通法違反の疑いで逮捕したと、大手紙誌メディアがこれを報じた。
❝交通捜査課によると、22人は1月9日午後2時10分から約3分間、山武市殿台の国道など約700メートルを車とバイク計9台で車線いっぱいに広がって走ったり、信号無視をしたりした疑いがある。うち1人は無免許運転だった。同課は成人式が2年ぶりに1月開催となったことから、警戒を強化していた。❞
同紙によると、この山武市では10年以上前から新成人の暴走行為が繰り返し行われていたそうで、その間は逮捕者なども無かったという。
だから違法行為が許されるのかといったら決してそうではないが、批判を覚悟でいうと、
❝「この日だけは大目に見てくれると思った」❞
と、“未成熟な成年”が考えてしまうのも無理からぬことかもしれない。
それにしても、9ヵ月前の事案をなぜ今になって逮捕・補導の報道が出たのか。
現行犯ではなく、防犯カメラの映像やSNSなどの動画が情報源となるため、慎重に捜査内容の解析を行い、誤認逮捕の可能性を潰した上で逮捕に至ったと思われる。
その調査にかかった日数が単純に9ヵ月間だった、という側面もあるだろうが、これは「来年も暴走とかやったらヤバいよ?」という当局からのメッセージと受け取ることもできる。
来年の成人式に向けて、計画がスタートするのは恐らく今時分から。まだ何も計画が始まっていない夏前でも、「もうやるしかない」となってしまう年末時期でもなく、残りあと2~3ヵ月となったこのタイミングでの発表は、当事者となる17~18歳の心理を揺さぶるには十分効果があるだろう。
成人年齢に達している場合は、実名報道もあり得る。慎重な判断を期待したい。