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【オトナな激シブ】昭和の現行感に令和のヤンチャが融合したゼファーにフォーカス!【旧車美学】

ゼファー400は90年代のバイクながら、その丸目・空冷・4発サウンドで立派な「旧車會系マシン」として市民権を得た稀有な存在。かつては「現行ネイキッド」として若者の足だったこの車両は、その中でも「あえて今ゼファーを選ぶ意味」を感じさせるバイクになっている。

 

ゼファーがここまで受け入れられた理由は様々考えられるが、そのなかのひとつとして「カワサキのバイクだから」という理由も当然挙がってくるだろう。

ゼファーが登場した平成初期という時代は、CBRのヒットから各社がこぞってレーシーなスタイルのバイクにかじを切っていた。やれ最高速は何キロだ、最高出力は何馬力だ、といった謳い文句を競い合っていた時代に合って、なんの特色もない、最高出力も規制値に遠く及ばない、ベース車みたいな打ち出し方で登場したのがゼファーだった。

メーターなどのメッキパーツには年季が入り、どこか「ヤレ感」のある顔つき。バーハン&丸目という鉄板スタイルに、あえて飾らず構えた無骨なフロントまわりが渋い。

 

ところが、「前傾姿勢で乗るバイクは疲れるんだよねぇ」といった機運の高まりに乗じた……というより、そういう機運を自ら作り上げてしまった。

「結局、バイクってこれでいいし、これがいい」

といった層を一手に集めて、爆発的なヒットに結び付けた。やがて「ネイキット」というジャンルを作り上げてしまった一見、ベーシックなデザインこそが、実はカワサキが長い年月をかけて印象を作ったフォーマットだという見方もできる。Z1やZ2、ザッパーなどの、いわゆる“丸Z”の系譜を受け継いだのが、このゼファー。実はベーシックなスタイルも、カワサキが育んだスタイルだということもできる。

 

こちらのゼファーは、そんなカワサキの系譜を随所に感じ取ることができる。

外装のライン自体は純正にも存在するものだが、そもそもがZ2の玉虫カラーを模したもの。タンク側面のブルーラインにはレース塗装でリーフ柄を加え、さらにタンク上面のラインには金箔を用いるという大胆なアレンジを施した。さらにベースのパールパープルが独自の世界観を醸し出していて、伝統と斬新のあいだをいったりきたりする唯一無二のスタイルを創生した。

 

外装だけでなく、オーナーいわく「一番苦労した」というオーバーホールしたエンジンが外装に負けない存在感を放つ。その努力の結晶がカタチとなって疾走するのは感激モノだ。

マフラーはヤシメガ2。音職人認定師でもある四国の雄がプロデュースしたマフラーを装着するのは、当然と言えば当然の流れでもあるだろう。

 

テールレンズとウインカーはクリアで統一。、テールカウルはタンクと同様のブルーラインが用いられているが、テールエンドのみワインレッドのグラデーションが施されているのがユニーク。側面から見て全体が冗長にならないための工夫が感じられる。

ド派手一辺倒ではなく、色気と渋さのバランスが絶妙。パープルアルマイト加工のリアショックが毒気と華をプラスしている。

 

これ見よがしな装飾ではなく、要所要所で見る者を惹きつけ、伝統と革新を調和させる──そんな令和の「ヤンチャ寄り派手シブ」カスタム精神が、この1台には宿っている。

 
 
■オーナー:こも
■ひとこと:ワンズ大好き

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