大所帯がゆえのルール?
集会で先頭に立つのは…
理人 建志さんたちの時代は、チーム同士の争いごとも頻繁にあった時代かと思うんです。
伊藤 鶴見って、横浜の一番東京寄りにあるんです。だから強い気持ちを持ってないと地元を守れないって思いがあったんで、エグいこともしてました。逆に、相当エグいことをやられたことも、何度もあるし。ただ……
理人 はい、分かります。言えないですよね(笑)。
伊藤 迷惑がかかってしまうかもしれないんで……。
理人 チームとしては何名くらいいらしたんですか?
伊藤 25人くらいはいたと思います。
理人 たとえば全日本の集会となったら、先頭に出ていいチームとか出ちゃいけないチームとか、あったんですか?
伊藤 そういうのは無かったです。行きたい人がいけばいい、っていう。その辺はあいまいでしたし、自分は先頭よりケツ持ちが大好きだったから、最後尾によくいました。
理人 建志さんは単車の運転に関してもスペシャルですから、その姿が目に浮かぶようです。
伊藤 ただ走ってるだけじゃ、面白くないんですよね。
当時の全日本には
こんなルールも存在した!
理人 あと、全日本といえば各チームごとにイメージカラーがあったじゃないですか。
伊藤 ありましたね。
理人 あのシステムがすごく印象的で、カッコいいなぁと思っていたんですけど、なぜチームごとに色を決めていたんですか?
伊藤 自分も先輩方から受け継いできた伝統ですから断言はできませんが、両軍入り乱れて……みたいなケンカの時に、味方が分かるようにしていたんだと思います。
理人 戦国時代の合戦みたいですね!
伊藤 あの特攻服のカラーをチームごとに決めてるのって、神奈川だけ?
理人 チーム単位で形をこうしよう、刺繍はどうしようって決めていたところは少なくないと思いますが、それを連盟・連合のなかで分けていたのは……少なくとも自分の現役時代までは伺ったことがないですね。
伊藤 そうなんですね、やっぱり。
理人 そういうシステムを採用している連盟・連合も、ほかに伺ったことはないです。少なくとも、最初に始められていたのは間違いないと思います。
伊藤 そもそも、神奈川みたいなスタイルは全国的に少ないかもしれないですね。
理人 独自の世界観があったと思います。
伊藤 単車のスタイルもちょっと独特ですし。
理人 建志さんといえばGSのイメージですが、当時からGSメインだったんですか?
伊藤 いや、色々と乗りましたね、当時は。CBXばっかり乗っている時期もありましたし。
理人 全然想像がつかないですね!
伊藤 意外と4発乗りなんです(笑)。
理人 今乗っているGSは、乗り始めて何年になるんですか?
伊藤 もう23~24年くらいになりますかね?
理人 スタイルもずっとこのままですよね?
伊藤 外装は塗り替えてますけど、仕様変更はしていないです。
理人 これは全国の旧車乗りの方に声を大にしていいたいです。20数年前に、すでにこのスタイルで走っていたという事実ですよ。
伊藤 伝統的な横浜のスタイルですよね。
理人 驚きでしかないです。
伊藤 これに見慣れちゃってるから、自分じゃよくわからないですけどね。
理人 完成形というか……知らずに建志さんの単車を模倣しているGS乗りは少なくないと思います。
伊藤 そうですか? 近所ではあんまり見ないけど……。
理人 建志さんを直で知っている方は、恐れ多くて真似できないですよ(笑)。
伊藤 そんなもんですかね?
i-Q JAPAN読者に向けて
生きる伝説からメッセージ!
理人 まだまだ伺いたいことは山のようにあるんですけど、そろそろスペースのほうが無くなってきましたので……最後に、このi-Q JAPANをご覧の方に、メッセージを一言、頂戴できますか?
伊藤 来たねぇ(笑)。
理人 特に若い世代の少年少女たちに、なにか頂けると。
伊藤 若いうちにしかできないことっていうのは必ずあると思っているんで、なんでも自由にやってみるのがいいと思います。いろんなことをやってみて、どんどん失敗してください。失敗できるのも若いうちだけですから。
理人 いや、失敗してくださいなんていってくれる大人は、自分のころにはいませんでしたよ。
伊藤 自分なんかはもう、失敗できない世代に入ってきてますから。大人はね、大人らしく節度もをって。
理人 いや、建志さんにはまだまだ業界をリードしていただかないといけませんので。本当に今日は、どうもありがとうございました。
伊藤 自分も楽しかったですよ。
こちらが伊藤さんの愛機・GS400
インタビュー中に佐藤さんも驚いていたが、このクオリティーの単車が20年以上前から存在していたという事実は、驚愕でしかない。
ポイントカバーには全日本麗心愚連盟のトレードマークが燦然と輝く。
20年以上前から、GSにダブルアンチを装着。これは相当かっこいい!
見よ!これが正しい風防の形状と、ヘッドライトとのバランスだ。
執筆者:i-Q JAPAN編集部