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【インタビュー】映画『デメキン』の原作・バッドボーイズ佐田が告白「健太郎や山田裕貴に伝えたのは“あの部分”だけ。彼らが出てくれて本当に良かった」

2017/12/20

COLUMN

カルチャー

映画『デメキン』は、現役暴走族当時に“福岡統一”を実現させた芸人・バッドボーイズ佐田正樹の自伝的小説を原作にしたもの。それだけに、本人の映画にかける思いもひとしお。その撮影の現場では、どんなことがあったのか? 自身の分身でもある健太郎や、その相棒を務めた山田裕貴には、なにを伝えたのか。i-Q JAPANだから語れる話がある!

――佐田さんが過ごされた暴走族の一体感を、現場の皆さんにも味わってほしかったと思うことはありませんか?

佐田 撮影期間が短かったけど、男同士の現場だったからそういった雰囲気は出てましたけどね。短期間で濃密なものを作りたいっていう方向が、みんな一緒だったんで、ふざける時と真剣な時のメリハリも出てましたし。自分らの若いころを見てる感じはありましたね。

――演者の方々ともかなり濃密にディスカッションを重ねたそうですが、どういった方法を取られたんですか?

佐田 本読みの時から参加して、台本のセリフの部分を全部書き直したんですよ、正しい博多弁に。方言を使うって決めてるのに博多弁が間違ってたら、セリフが入ってこないじゃないですか。あとはイントネーションも確認して、って感じで、最初は言葉からですね。

――言葉使いが違うと臨場感が薄れるのは、分かる気がします。

佐田 今回は役者たちも頑張ってくれたんで、地元の人間は全員福岡の役者を使ったって思ってますよ。それくらい言葉には気を使ってました。

――それは凄いですね!

佐田 オーディションにも参加させてもらったんですけど、なかで一人、俺の高校の後輩だっていう俳優さんがいて。これはイイぞ、と。福山翔大クンっていって鮫島役をやってもらった方なんですが、監督さんにも「彼だけは自分の推薦枠で入れてください」ってお願いして、自分が参加できないときの方言の指導をしてもらっていましたね。東の方の人だと、博多弁のつもりが関西弁になったりするんで。

――単車に乗っているシーンも、かなり細かく指導されていたそうですが。

佐田 さすがに単車のことまで彼らも分からないから、そこは雰囲気が出るように細かく伝えましたね。ずっとアクセルふかし続けてると手首が痛くなるんで、時々右手を離して左右に振ってもらったり。あるあるネタもあちこち盛り込んでるんですよ。

――元不良少年の目も、多分に意識されているんですね。

佐田 「ガソリン無かとよ鮫ちゃん」「リザーブに切り替えろ!」「リザーブってなに?」「リザーブも知らんとバイク乗りようと?」みたいな感じの台詞回しを入れたり。

――走ってた人でないと分からないシチュエーションですね!

佐田 リアルに暴走族をやってた方なら「うわ、分かるわぁ!」っていうシーンを散りばめたり、自分としては40代の男の人が見て楽しめるような工夫も盛り込んでますね。

――そういった男性のお客さんにぜひ見てもらいたいシーンなどがあったら教えて欲しいのですが。

佐田 ラーメン屋さんで正樹と厚成の葛藤のシーンですかね。総長として全体を見なきゃいけない、考えないといけないって思っている正樹と、正樹と同じ景色は見えていないけど、自分の信念に真っ直ぐな厚成が、抗争相手にどう向かっていくかで対立するんです。正樹は、ここまで自分を導いてくれた先輩たちから「力っていうのは自分を誇示するためじゃなく、大切な誰かを守るために使うものだ」と言われたことを大事にしていて、「いや、総長っていうのはね」って言いたいけど、でも正樹は言えないんです。力には、使うタイミングがあるんだよって言外に伝えるんですけど、そこで厚成が「今がその時やろうが!」って。これ、台本にないんですよ。山田(裕貴)クンが(役に)入っちゃったんでしょうね。アドリブで喋ってる台詞なのに博多弁なんです。背筋がゾクゾクッとしました。


――台本にないシーンも多かったと、伺いました。

佐田 庄野崎源太と正樹がタイマンをはるシーンでも、交番を避けて進んでいくんですが、その間の台詞もほぼアドリブなんです。だいたいこんな感じ、っていう部分だけは伝えたんですが、細かいところは何も言ってないんで。シチュエーションを本人たちが意識して演じているから、リアルなんですね。

――たとえば健太郎さんや山田さんと個別に話したこと、伝えたことはありますか?

佐田 健太郎に関しては、こういう世界に興味があるみたいで質問攻めでしたね。自分から伝えたのは、「不良の見え方は歩き方で決まるから」ってことくらいですかね。胸を張ってつま先よりかかとが前に出ていくような歩き方っていうか。普通にスッスッスって歩くと、どんなにワルい台詞を喋っても不良に見えないんですよ。その違いって、“自信”なんですよね。映画を撮り終わるまでは、カメラが無くてもその歩き方を通してねって。クセを付けて欲しいって伝えたんです。

――山田さんには、どんなことを伝えました?

佐田 山田クンは器用ですよね。本読みの時にはだいたいの台詞が入っていて、方言の指導も何度か伝えたらイントネーションごと習得している感じなんですよ。アドリブ対応力にも長けているし、コミュニケーション能力も高い。舞台挨拶でも、ココでコレを言ったらオチる、っていう場面でちゃんとオチの台詞がチョイスできるんですよね。あれは、笑いのセンスがないとできないですから。

――本職の佐田さんにそこまで言われるんでしたら、それはもう本物なんでしょうね。

佐田 山田クンは「本当にいてくれてよかったな」って思えるキャストでしたね。健太郎は、「本当によく頑張ってくれたな」なんですけど。ちょっとずつ違うんですが、山田クンには感謝してますね。

――その他のキャストで、気になっていた方っていらっしゃいました?

佐田 あの、蝉魔竜のリーダーをやってくれた笠松将クンっているんだけど、彼の熱量が凄かったんですよ。今、〇〇みたいな恋愛映画ばっかりだけど、自分はこういう映画に出るために役者になったんです、って。このコは使わんとなぁって思って、監督に「蝉魔竜のリーダーにしましょう」って推薦しましたね。

――でも、熱量で言ったら佐田さんの熱はめちゃめちゃ高いじゃないですか。どうして監督されなかったんですか?

佐田 言ったんですよ、やらせてくれって。最初にお話頂いたのが2年前ですかね。ただ、色々あって一度お断りしたんですけど、それでもどうしてもやりたい、って言ってくださったので、皆さんで一度集まりませんか、ってお願いして。そのときに、自分の作品だから自分に監督もやらせてくれ、っていったんですよ。

――そのときは、どんなご判断だったんですか? 

佐田 まず、芸人が映画を撮るには色々なパターンがあるけど、今回は自分だけじゃなく清人も3ヵ月間無収入になる可能性がある、と。さらに、コンビで頂いている仕事のいくつかを、キャンセルしないといけなくなるけど、会社としてもそれは避けたいと。ビックリするくらいごもっともな意見だったので、そこは「分かりました」と。

――難しいところですね。社会人としては、受け入れないといけない部分もある気がしますし。

佐田 そこは分かったけど、俺の作品だし、俺の人生だから口出しはします、と。それは俺の意見を通してくれってことじゃなくて、俺にできることは全部やるから、皆でいい作品にしていきましょうということです、って言ったら「ぜひそうしてください」って言われたんで、そうさせて頂きましたね。決まっている仕事が最優先ですけど、空いている時間はすべて映画に使いましたから。台本の方言もそうですし、バイクのシーンで運転もしてますし。

――運転もされてたんですか! 

佐田 その場にいる全員が納得できる作品にしたかったんですよ。だから、自分の意見だけを通すつもりもないので、ダメならダメって言ってください、って言って。脚本も、最初は少年時代から描かれていたんですけど、高校時代から入って、正樹と厚生の友情にグッと焦点が当たる形にしてもらいました。

――それ以外にも、ずっと映画に寄り添っていたと伺っていました。

佐田 肩書はどうしましょう? って聞かれたんですけど、「肩書やらいらんよ」って言いました。肩書もいらないし、ギャラもいらないです、って。ただの原作だったら、現場には行かないですよ。で、あとから「ああじゃなかった、これは違った」ってなるんです、大体(笑)。でも、だったら最初から現場に足を運んでいればいいんじゃないんですか? って話じゃないですか。

――この作品を通じて、一番伝えたかったのはどういった部分ですか?

佐田 人と人との関わり方って、こういうやり方もあるんだよ、ってことですね。あえて喧嘩のシーンを多く入れてもらったんですけど、喧嘩は自分らにとってのコミュニケーション・ツールなわけです。リーゼントにしたりするのも、相手を間違えないようにするため、って部分もあるんですよ。「自分らはこういう種族の人間だから関わらんといてね」っていう。

――すごく直接的なコンタクトの取り方ですよね。

佐田 だから、ガン飛ばすなんてのは求愛のダンスみたいなもんですよ(笑)。面倒なのが目の前にいたら、そうやって喧嘩という形でコンタクトをとって、ひとつずつ答えを出していって。ネット社会の言葉の暴力って、結果どっちも傷ついて終わるけど、なんの答えも見いだせないとか、よくありますよね? そうじゃなくて、不器用な手段だけど、ちゃんとコミュニケーションをとってた人間がいましたよって。そういう部分も見て頂けたら嬉しいです。

――手段はともかく直接会って話すって、人間同士のコミュニケーションの基本のような気がします。では最後に、i-Q JAPANの読者にひと言メッセージを頂けますか。

佐田 i-Q JAPANをご覧の皆さま、友達はいればいるほど人生が豊かになります。人生の宝です。友達は大切にしましょう!


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▼上映スケジュールなどはコチラをチェック!
公式HP:demekin-movie.com

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