CBXの特徴の一つとして、その独特なフォルムが挙げられる。曲線とエッジが絶妙に調和しているそのデザイン性は、誕生から何十年経った今でも色あせることなく、見る者を惹きつけてやまない。
そしてそのフォルムを活かしつつも、オーナーが岡山のショップ、ガレージBAに依頼して仕上げたコンプリート車両がこの1台だ。
ホンダを象徴する青✕白✕赤のトリコロールの1型純正カラーに合わせながらも、キャンディカラーとボカシを加えることでアップグレードされたイメージが漂う。いわば「純正の美しさを残しつつ、ちょい盛りで魅せる」絶妙なペインティングだ。
キャンディ塗装ならではの深みと透明感に、ラメが加わってギラリと主張してくる。そこにスッと入る赤のボカシラインが、白のベースカラーとのコントラストも相まって、全体の印象をシャープに引き締めてくれる。
フロントビューは極めてCBX然としたルックス。エンブレムやウインカー、ヘッドライトなどの位置はそのままに、要所にメッキパーツを採用するなどして高級感をアップ。そのコンディションも上々だ。
ハンドルまわりも細部をオリジナル化。バランスのいいCB750の“ナナハン”を装着し、左右のバックミラーはナポレオンミラーに換装。アクセルワイヤーやメッキを施したマスターシリンダーにつながる油圧ホース、クラッチワイヤーにはメッシュホースを用いていて、こちらも高級感を感じさせる仕様となっている。
カラーリングの面では、テーマカラーでもあるブルメタを随所に採用。ボトムケースやインボードリング、フレーム、スイングアームにシリンダーヘッドのフィンにまで、ブルメタを取り入れている。
それぞれに材質や使用用途が異なるため、ひとくちに「カラーリングを統一」といっても手法は異なるわけで、強固な意志の強さを感じることができる。
マフラーはプリティーレーシングの漣ステンレス。関西独特の低回転コール用に開発された高級マフラーで、チタンを思わせる焼け色も美しい。
シートは足つきのいいタックロール。BEETのリアフェンダーにスモークのテールレンズをセット。さらにはメッキのチェーンカバーやカラーチェーンなどでドレスアップしてリアビューをグッと大人っぽく仕上げた。
盛るところはしっかり盛って、引くところは潔く引く。このコントラストこそが、このCBX最大の魅力だろう。旧車會的な文脈の中でこそ映えるカスタムでありながら、どこか品すら感じさせるのは、やはりベース車両への敬意と愛情があってこそだ。
見れば見るほど味が出る──そんな“通好み”の1台である。
■オーナー:きんぴら510
■チーム名:軍団BA
■ひとこと:BABA! よろしくBBA!!!