『疾風伝説 特攻の拓』や『ホットロード』など、80〜90年代の人気暴走族漫画で“伝説のバイク”として扱われ、そのせいか一般的には超人気の旧車として知られている”ヨンフォア”。旧車會では少数派だが、その存在感は強い。
そしてこのヨンフォアが凛々しくも雄々しいのは、オーナー氏と“現役”時代からの相棒であることと無関係ではないだろう。今でこそ中型絶版車のなかで1、2を争う人気車種となったヨンフォアだが、同じように人気とはいえ当時はまだプレミア価格ではなかったため、今ほど入手困難な状況ではなかった。
それがここまでのコンディションを保っていることがまず驚きで、改造のスタイルにも当時感溢れるものが随所に見られるように遊び心と族車スピリッツが息づいている一台となっている。
族車御用達のアサヒ風防はクイっと前傾に装着し、ワルさを演出。ヘッドライトに噛ませたタレで、族車ならではのワイルドさとオリジナル感を共存させているのもポイントだ。フロントまわりはスポークホイールからウインカーまわりの電装まで"ヨンフォアらしさ"がバッチリ残されている。
このマシンで最も注目したいのが、このタンクのペイント。なんとも精巧なゼロ戦が3機も描かれている。バイクカスタマイズのモチーフとして人気のゼロ戦だが、機種名まで判別できそうなほどリアルなゼロ戦が描かれた例はあまりないのではないだろうか。
このアートのおかげかタンクの傷も弾痕のように見えてくるから不思議だ。
整備の行き届いたエンジンから伸びるエキパイと、極太の黒塗りマフラーは迫力満点。まさにコールマシンの象徴といえる。焼け跡ひとつない艶やかな黒が、オーナーの手入れの良さを物語っており、エンジンとの一体感も抜群だ。
夜に響き渡るであろう重低音を想像するだけで、走りの凄みとヤンチャさがビシビシ伝わってくる。
艶やかな三段シートの背面にはチームステッカーのみがドンっと鎮座し、後ろ姿からでも存在感をアピールしている。テールランプやウインカーといったリアの電装系はあえて純正のままを維持し、その無骨さと潔さが“これぞ旧車”といった雰囲気を漂わせる。
足回りにはKONIの意匠と技術を受け継いだブランド、IKONのリアショックを装着。パーツのチョイスもシブい。
オーナー氏いわく「大人仕様」でまとめたこのヨンフォア。ギラつきを抑えつつも王道の族車アイテムはしっかり押さえており「ヨンフォアらしさ」を存分に漂わせている。
今後はさらに手を加えていくとのことで、シブさと派手さのバランスをどう仕上げていくのか、オーナー氏のセンスにますます期待したい。
■オーナー:jun
■チーム名:祭
■ひとこと:孫が乗るまで頑張る