2スト3気筒のバイクといえばどのバイクを思い浮かべるだろうか。
旧車會で人気なのはGT380通称サンパチだが、世間的にはサンパチとほぼ同様に人気を集めているのがカワサキの「ケッチ」。
旧車全般で人気が高いカワサキのバイクだが、こと旧車會での支持は正直それほど高くはない。とはいえ、バイク自体は色々と魅力が詰まったバイクなのは間違いないところ! そんなケッチの魅力を改めて深堀りしていきたいと思う。
まず、ケッチを語る前に2スト3気筒が搭載されたバイクといえばカワサキのマッハシリーズの説明が必要だ。
では見ていこう。
500SS マッハIIIは1969年に日本で発売。
当時、60馬力でゼロヨン12秒台という速さを持ったバイクは見当たらず、メイン市場のアメリカのユーザーを意識して開発されたこのマシンは、当時の世界最速記録を更新したことでユーザーに驚きの声と共に迎えられた。
パワーとは裏腹に軽量なフロント部分は走り出すと前輪が浮き上がりウイリーしやすいという扱いにくさから「走る棺桶」と呼ばれるほど。
とにかく、その過激な性能が話題となった。
しかし1970年代になると、この過激さよりも安定性を重視する流れが各メーカーで起き、パワーよりもバランスを求める傾向から1976年に「SS」に代わりケッチと呼ばれる「KHシリーズ」が発売された。
マッハを継いだケッチはどのようなバイク?
マッハより中低速を重視したモデルで、2スト3気筒はKH250、400、550の3つのラインナップで販売された。
パワーを抑えたマイルドな乗り味は、マッハを知るユーザーからは不評であった。
しかし、2ストトリプルのサウンドは健在!!
何といっても回転数を上げたときの2ストならではの甲高い排気音は刺激的!
アクセルを開けたときの加速の良さとレスポンスの良い音は最高に気持ちが良い!! 現在でもこのケッチの魅力にとりつかれた人は多い。
大人気のアニメ「東京リベンジャーズ」の羽宮一虎(はねみやかずとら)の愛車として知られるが、今の旧車會世代には断然「特攻の拓(ぶっこみのたく)」の真島秋生(まじまあきお)のケッチを思い浮かべる人が多いのではないだろうか。
ケッチの魅力が表れたこんなシーンがある。
秋生達がチームで走っている時にパトカーに追尾されるが、ケツ持ちの秋生がケッチで煙幕を張り追尾を妨害するシーンだ。
普段クールな秋生が、ケツ持ちの際に後方のパトカーに対し笑いながらエンジンを吹かしまくって白煙を巻き上げ、ハイになっているのだ!
ケッチは乗っている人間をまさにトリップさせる魅力があるバイクなのかもしれない(笑)。