コール重視の旧車會において、サンパチは特異な存在だ。
2気筒3発というエンジン構造で回転の上がり方と下がり方が素直なため、独特なコールが刻みやすいことから重宝されている。
また、様々なメーカーやショップから独自のアフターパーツが提供されていて、マニアックなカスタムへの指向性を感じさせるケースも多い。このマシンもそんな一台だ。
外装は純正B7のカラーでリペイント。エンブレムも後期タイプの、文字端に“うろこ”が付いたタイプを着用している。サイドカバーにもしっかりとエンブレムが残っていたりというところにも、サンパチに対する愛情を感じ取ることができる。
ホイールはキャストホイールに、ブレーキもGT750用ダブルディスクを変更。鉄メッキのフロントフェンダーで純正感を残しつつ、足まわりの重量感と存在感アップに貢献。
マーシャルのフォグに替えている以外は、純正の雰囲気を色濃く残しているライト周り。かつての族車としての威厳すら感じさせる。
特徴的なラムエアシステムを搭載したエンジンはコンディションも良好に見える。
さらに、フレームにさりげなく入れられたSUZUKIロゴのステンシルが旧車會的なワンポイントとして映えている。
3連エキパイに連なるのは、キング管ロングマフラー。生々しい焼け色が、コールにかける「本気度」を物語っている。
グラブバーはクロームメッキ仕上げの丸棒タイプで、ビシッと仕上げた角度が三段シートと完全マッチしている。テールガードはキジマのアフターパーツ。
コールを極めたい人たちに人気のガンギメハンに、意表をつくマーシャル柄のグリップがカワイイ。アルミ製補強バー付きクランプに換装するなど、ハンドル周りの補強や強い存在感を放つタンクステッカーまで「サンパチ乗り」としての意志がてんこ盛りだ。
当時のカタログから飛び出したような深緑メタリックの車体に、赤×金のピンストライプと純白の三段シートがバチッと決まる。昭和の空気を現代に引き戻す、真面目にヤバい色気をまとった一台となっている。