旧車バイクの改造カスタムで、多くの人がまず手を付けるのは、やはり外装だろう。タンクにペイントを施し、サイドカバーをアルフィンに変え、場合によっては前後のフェンダーにも手を加える。
CBXなら前後のフェンダーとサイドカバーをBEET製に換装するのが定番。GSやサンパチ、バブなど70年代生まれのバイクだとフェンダーはあえて鉄メッキを残すこともあるが、それでもタンクやサイドカバーは何かしら手を加えることが多い。
70年代生まれのバイクで、特にその傾向が強いのがGS。バブやサンパチと比較すると、圧倒的にサイドカバーを変えているバイクが目に付く。
そんななか、サイドカバーも純正を保っている、GSとしてはマイノリティーに属すのが今回ご紹介するGSだ。
たしかにサイドカバーは純正だが、大ぶりなアップハンにドッカン風防、ホイールは前後ともセブンスターキャストを装着し、ディスクもダブルという、むしろしっかり手が入ったバイクの印象がある。
さらにリアショックはマルゾッキ、マフラーはウェザリング効果で全体に奇麗なサビが浮いた状態のハス切り。スイングアームはメッキ、オイルクーラーも装備しているというGSらしいカスタマイズが全体に行き届いている。
ではなぜ、あえてのサイドカバー残しかというと、バイク全体のコンセプトによるところが大きいだろう。
タンク、そしてテールカウルの左右に日章(旭日)をペイント。タンク上面には「暴走烈士」の文字が見られるように、国粋主義的な主張が強いカスタマイズが成されている。
日章に挟まれた三段シートも白地に赤のパイピングと、全体のコンセプトに沿った仕様に。
そうなってくると、サイドカバーはBEETやキジマのアルフィンカバーを装着するより純正を黒塗りにして「國士」の文字を加えた方がコンセプトには合っている。
むしろ、迫力が出ていることを考えると、こちらが正解だったのだろう。
執筆者:i-Q JAPAN編集部