族車というのは様式美の世界でもあるので、“コレ”というスタイルも存在する。車種によって形状が異なるので「似合う」という要素も必要だが、連綿と続く伝統のなかから生まれてくるものでもある。
特に地域性から生まれるものもあって、チラバギ仕様、関西仕様、福岡仕様などご当地スタイルとして有名なものもあるが、なかでも全国区の存在として知られるのが“神奈川仕様”。銀ラメにライン塗装、絞ったハンドルに高さを抑えた三段シートと、その三段シートに高さを合わせたカウルor風防装着、というのが一般的にいわれる神奈川仕様の定義で、さらに神奈川の“発明品”でもあるGSなどは、そうした仕様ハマるバイクでもあった。
こちらのGSは、そうした様式美を受け継いでいる仕様のバイク。ベースは銀ラメで、ラインはGSの象徴ともいえるE2ライン。ラインの内外にキャンディーカラーでボカシが入れてあるのだが、若干のグラデーションが効いているのが分かる。
フルカウルのセット位置も50センチ延長の三段シートの頂点と、ほぼ高さを合わせていて「横から見たらシルエットが長方形に見える」という神奈川仕様の定義にも当てはまっている。
フレームとポイントカバー&カムカバー、グリップは黄色。ボトムケースとマフラー&スイングアームは赤、前後の星キャスと三段シートの座面は白という3色で、族車らしさも強烈に感じさせるカラーリングとなっている。
マフラーはここでも三協オートの八木スペシャル。このハス切りのデザインがGSにはハマるのもあるが、コールにおける信頼度の高さが支持されている理由だろう。
リアサスはマルゾッキ。そしてスイングアームはGSX400FSインパルスのアルミスイングアームを換装している。このパターンは案外珍しい。
シートレールに角度を付けてケツ上げした先にはZ2テールを装着。テールレンズもZ2用を使用しているのが面白い。
これだけ細部まで手を加えているにも関わらず「シンプルにかっこよく」というコンセプトで仕上げているというのが洒落ている。
■オーナー:せーや
■チーム:松浦一家
■ひとこと:シンプルにかっこよく
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