古いバイク、特に人気があったバイクは、愛称で呼ばれることが多かった。クラスの人気者には“あだ名”があるのと一緒だ。
今回は、そんな素敵な愛称を持つバイクを集めてみた。その土地で独自に呼ばれている"ローカルルール"はあるかもしれないが、今回は割愛。族車仕様に使われる中型バイクを中心にまとめてみた。
【ホンダ編】
【バブ】
ホンダのホーク系全般の愛称がバブ。i-Q JAPANの利用者なら知っていて当たり前かもしれないが、世間一般ではまず使われることのない愛称。令和ナンバーワン暴走族漫画『東京卍リベンジャーズ』の主役・タケミチやマイキーが乗っているバイクでもある。語源は“バ~ブゥ~”というその独特な排気音。
【ヨンフォア】
バイクの愛称としてはかなり有名な部類のヨンフォアは、CB400FOURの愛称。“バブ”はバイク乗りでも知らない人は知らない呼び方だが、こちらのヨンフォアはバイク乗りなら知らない人はいないだろう。
400の4気筒は他にもあるが、それが愛称にまでなっているのはこのバイクだけ。
【スズキ編】
【ザリ】
人気のバイク・GS400Eのあとを継いで世に出たGSX250/400Eだったが、純正色の赤ソリッドと、角ばった無骨なデザインがザリガニに似ていることから「ザリ」と呼ばれることに。
美しい曲線で構成されたGSとは対照的な、直線的なデザインが特徴。熱狂的なファンも多くカフェレーサーのベースとしても人気がある。
【ゴキ】
海外の超有名デザイナーがGSXシリーズを一括してデザインを行うマイナーチェンジを行うことになり、400と250のGSXも外装が一新された。
この際に与えられた丸みを帯びたフォルムと漆黒のソリッドブラックがゴキブリを連想させることからゴキの愛称が自然発生。「ザリ」という秀逸な愛称との対比で名づけられた?
【サンパチ】
旧車會でも人気のバイク・スズキGT380の愛称がサンパチ。形状でもローマ字でもなく、排気量で呼ぶタイプのあだ名は意外に珍しい。ちなみに、同じGTでも750は排気量ではなく見た目で「水牛」という愛称で親しまれている。
【アメザリ】
アメザリの“ザリ”は、上記のGSXの“ザリ”。GSX250Lがアメリカンな仕様のGSXだったことからアメザリと呼ばれていた。エンジンは250のザリと同じだがタンクの形状はむしろGSに近い。
【トラザリ】
こちらはGSX250Tの愛称。このTは“トラディショナル”のTで、“トラディショナルなザリ”を略したのがトラザリだ。アメザリとトラザリの違いはタイヤサイズとハンドルくらいで、コンセプトや使用パーツは共用できるものも多い。
【カワサキ編】
【マッパ】
ケッチの先輩・SSシリーズにはマッハという愛称がカワサキから贈られているのだが、それをさらにモジって付けられたのがマッパという愛称。「真っ裸」をマッパと言い換えることがあるが、この語感の良さから定着したものと思われる。
のちにゼファーの登場で大ブームを巻き起こしたネイキットの語源が、この「真っ裸」。ともに時代を作ったバイクだ。
【ケッチ】
カワサキのKH250/400の愛称がケッチ。排気量に関係なく、ケッチはケッチ。
あまりコール向きではないので旧車會界隈よりも絶版車イベントなどでよく見るバイク。ただ、バラチャン装着で高速道路を走っているときのエキゾーストはめちゃくちゃいい音がする。
【フェックス】
日本に400㏄4スト4気筒の熱狂を再びもたらしたカワサキのZ400FXの愛称がフェックス。ローマ字をもじった系だが、略し方がカッコいい。
ちなみに、エフペケという呼び方もある。
【ヤマハ編】
【ペケジェイ】
バッドボーイズ佐田のYoutubeチャンネル、SATAbuilder'sでもお馴染み、佐田の愛車ヤマハXJ400の愛称がペケジェイ。Xを「ペケ」と読むのが当時のトレンドだった。
キャストホイールのデザインは、今にして思うとメルバ―のそれと酷似。よく問題にならなかったものだ。
【ペケジェイアール】
XJ400の進化系・XJR400は、そのままズバリのペケジェイアール。ひねりも何もない(笑)。
のちにブレンボのキャリパーやオーリンズのリアショックが標準装備になったように、ネイキットながら“走り”を意識したバイクで、「乗ったら速い」と感じる人が多いのも頷ける、よくできたバイクだ。
執筆者:i-Q JAPAN編集部