会ったなり、彼に伝える。
「あのさ。突然だけど、キミには編集部に入ってもらおうと思っているんだ」
「ハイ……」
「で、急なんだけどオレたち気合入れるために、これからパンチパーマをあてに行くんだ。一緒に来れるよね?」
「え?」
「え、じゃなくて。来れるね?」
「………」
「そっかぁ。残念だなぁ。いきなりパンチパーマって言われても困るよね。うん、じゃあ欠員が出たらまた連絡するからそのときにまた…」
「行きます」
「え?」
「行きます」
「えええ? 無理しない方がいいんじゃない?」
「行きます」
「やめたほうがいいと思うなぁ……」
パーマを当てるビフォーアフターの映像を撮る、といって都内の貸しスタジオへ。一人だけさせるわけにもいかず、皆で交代で映像と写真を撮る。新人も、黙々と写真を撮り続ける。目がヤバい。覚悟完了してしまったのだろう。仕方ないので、理容店まで連れて行くことに。
あっという間に到着。席へ案内されると天井の一点を見つめて動かない。やるのか……やっちゃうんだなぁ……。ああ、短くしちゃって。………小手も巻いちゃって!! もう後戻りできないわこりぁ……。いまさら冗談だなんていえないよなぁ……。
ああ凄い! 髪の毛がコンパクトに収まっていく。こっ…これがパンチパーマなんだ。髪を触ってみると日本人の天パじゃ、到底たどり着けないチリチリ具合。このときの体勢は背もたれを倒して、寝転んでいる。後頭部から巻き始めて、最後には額周りを巻くから少し倒さないといけないってわけ。撮影の疲れもあって、顏ぞりやマッサージも終え、もう気持ちよくなっている二人はそのまま眠りについた……。
「できましたよーー!」
先に完成したのは新人の方。起き上がり、目を開き、ゆっくりと鏡を見る。
「あれっ……めちゃめちゃ似合ってるパターンやないッスかぁーー!!」
本人がもの凄い自信満々に言ってきたから、みんな話を合わせていた。が、しかしこのとき彼に向けてほほ笑むみんなの顔は、かなり引きつっていた(笑)。
内田クンも完成した模様。あれっ、なんだ? あれれれれれれれれ。なんかコイツ、パンチがしっくりきちゃってんだけど、どういうことだよ、チクショーーーーーーーーー!!!!!!
「拙者が拙者ではなくなってる可能性はどれくらいですか編集長氏%たfんっじゃおcんsb。%」
早口で何話してるか分かんないんだよ(笑)。なんか、似合ってるって言いたくないけど、似合っちゃってるんだよなぁ~。