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【ZOKU】第十六代 真狂連盟【平成暴走族が往く!】

2017年9月23日

平成の世を駆け抜ける、現役暴走族たち。時代の逆風を浴びてまで、なぜ彼らは走るのか――。

グラフとインタビューで送る、不定期連載【ZOKU】。第一回は、茨城県で今も走り続ける暴走少年たち。
時代を重ねて変わるもの、変わらぬもの。それをその眼で確かめてほしい
真狂連盟は、茨城県真壁町(現桜川市)を地元に持つチーム。結成は古く、初代は今から約30年ほど前だという。チャンプロードの創刊と前後するくらいだろうか。

そんな、30年の歴史を持つ真狂連盟が、ではなぜ十六代なのか。ご多分に漏れず、この伝統あるチームにも時代の波は押し寄せていた。後継者が、いなかったのだ。

もちろん、不良少年はいる。十代半ばの少年にとって、自由はキラキラして見えるものだ。だが、暴走族は夜の街を自由に走れる権利は有しているが、厳格な上下関係も同時に存在しており、時にはその権利を行使することが叶わない場合すらある。戒律は自由と等価なのだが、それでは見合わないと、敬遠する若者が増えてしまったのだ。

裏を返せば、夜の街道を自由に走りたいという欲求自体が潰えたわけではない、ということになる。その証拠に、現在の十六代目の面々は「単車に乗りたい、走りたい」という欲求から、自然発生的に集まったメンバーだった。
現総長のM(仮名)は言う。

「きっかけは、旧車會の単車ですね。このあたりは普通に単車も多いんで。ブワッと集団で走ってる単車って、やっぱりかっこいいじゃないですか。それを見ていたら、自分らも走りたいな、って。16になってすぐくらいから、なんとなく仲間同士で走り出したんですよ。走れるヤツが走れるときに集まって走って……って感じで。楽しかったですね」

しばらくそんな感じで走っていると、人づてに一本の連絡が入る。地元の暴走族OBだった。聞けば、「会いたい」といっているという。
「こりゃマズいな、怒られるのかなぁ……」と思ったものの、言われた以上、会わないわけにはいかない。彼らのネットワークから逃れることはできない、と腹をくくって指定された場所に向かった。

「お前ら、最近この辺で走ってるんだって?」
「……はい」
「中途半端にチャラチャラ走ってても面白くないだろ? 看板掲げて本気で走ってみたらどうだ?」
「……え?」
「なんだ不満か?」
「じゃなくて……いいんですか?」
「お前ら次第だけどな」

会話の相手は、地元の真狂連盟のOB。名前を使わせてくれるという話だった。彼らが、その名前を知らないはずがない。総長のMは、もっとも近い間柄の人物が、真狂連盟に関係していたからだ。
「うちの親父が、真狂連盟の二代目だったんですよ。まさか、その真狂連盟に誘われるなんて思ってなかったんで、最初は驚きましたけど……光栄だなと思って、受けさせていただきました」

親子二代で同じチームに入ることになろうとは、全く想像していなかったが、地元に古くからある金看板を背負えることは、名誉なことだった。

「一応、親父にも話しましたけどね。もろ手を挙げて賛成しているわけじゃないけど、反対もされていないです。ただ、会話は増えたかもしれないですね。単車の仕様とか……旧車會ではないんですが、親父もまだ単車に乗ってたりするので。調子が悪くなったら、親父に聞いてみたり」

親子の断絶が叫ばれる平成の世にあって、親密な関係を築くツールが暴走族というのも面白い話だ。

そして彼らは、再び夜のストリートへ。変わらない部分もあるが、変わった部分もある。一番の違いは、ただの若い単車乗りからチームになったということだ。

【真狂連盟】後編に続く
http://i-kyu.com/zoku002sinkyorenmei/
真狂連盟
十六代総長 M(仮名)
父は第二代真狂連盟のメンバーという、暴走サラブレッド。
16歳でチーム再興にかかわり、約2年。そろそろ引退も見えてくる時期だが、
今はチームを守っていきたいとの思いが強い。

▼現役暴走族の主張! 後半戦はコチラ
【ZOKU】第十六代 真狂連盟 第二章【平成暴走族が往く!】

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