【ZOKU】 連載

【ZOKU】第十六代 真狂連盟 第二章【平成暴走族が往く!】

2017年9月24日

グラフとインタビューで送る、不定期連載【ZOKU】。第二回は、前回に引き続き茨城の真狂連盟だ。
仲間に対する気持ち、同じ十代に対する思い。現役たちのリアルな声を聴いてみた
暴走族をやっていて、よかったことはなにか。副総長のY(仮名)は、『仲間に出会えたこと』だという。
「仲間たちと気軽に走っていたころに比べたら、濃密な時間を過ごしている実感があるんです。いいことも悪いことも、ここで仲間と体験しているんで、自然と信頼関係もできてくるんです。自分らがいま着ている特攻服も、先輩方からおろしていただいたもので、これは仲間とはまた違うんですけど、そんな大切なもの、なかなか他人に渡せないじゃないですか。それでも渡してくれたのは、真狂連盟っていうつながりがあったからだとい思うんです」
総長のMは、それを『絆』だといった。

「このあたりでも、高校に通ってイキがってるヤツが勝手に走ってたりするんですよ。それは許しちゃ駄目じゃないですか。自分がひとりでいる時でもバッティングしたら行くんですけど、揉めてる現場にいつの間にか仲間たちが居ますから」

たしかに、それは『絆』と呼んで間違いなさそうだ。むしろ驚いたのは、彼らに“地元を守る”という意識が平成の世でもなお、息づいていることだった。再度、総長のMが言う。

「自分らは諸先輩方がいて、走らせてもらっている場所じゃないですか。それを関係ない人間が勝手に踏み荒らすのは、先輩方にも失礼なんで」。ただ、自分らはいきなり襲ったりはしないです。相手が同い年くらいだったら、『いっしょにやらないか?』と、誘います。それでもダメな場合はもう、“狩る”しかないですが」
地元意識の高さには、平成も昭和も関係なかったようだ。ただ、平成と昭和で、どうしても違いは生じる。それは世代の差というより、願っても叶わない部分もある。たとえば台数だったり、仮想敵がいなかったり。副総長のYがいう。

「だから、一番の相手は警察ですね。一度、追われている最中に事故処理している現場を通っちゃって、パトカーが10台くらいに膨れ上がったときがありました。その時が一番ヤバかったかな? こっちの倍くらいいたんで……。全員、無傷だったのが奇跡だと思います」

では、一番辛かったのはどんな時か。これに対しては、声を揃えて“単車に乗れないこと”だといった。

「自分らの代で復活しているから直の上の先輩はいないんですけど、OBの方から“ご指導”をいただくことはあります。でもそれは、自分らがやることをできていなかったから当然のことで、むしろありがたいことだと思っています。それよりも、単車に乗れないことのほうが辛いですね。暴走族は単車に乗ってナンボですから」
時には後輩の“やらかし”が原因でOBからヤキを入れられることもあるそうだが、それは苦とは思わないそうだ。意外に、といったら大変に失礼だが、性根は座っている。

最後に、同じ十代の同世代に向けたメッセージを紹介しよう。

「十代のうちから旧車會で走っている人もいるみたいだけど、若いうちはもっと自由に暴れてもいいんじゃないかなって、思います。現役をやって得ることは凄く多いんで」(副総長・Y)

「暴走族が時代遅れとかダサいとかって声もあるみたいだけど、自分らは誰もそんなこと、直接言われたことがないんですよ。もし言いたいことがあれば言いにきて欲しいです。その勇気があれば、ですけど」(総長・M)

どっこい生きてる、平成の暴走族。その魂は、今も受け継がれているようだ。
【この項・了】
真狂連盟
副総長・Y(仮名)
同世代の総長を支える、参謀役。クールな見た目だが、発する言葉のひとつひとつから、暴走族への強い自負とプライドを感じさせる熱いハートの持ち主だ。

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